(キス)釣り選手権大会

2022年度全国大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ 投(キス)2022年度全国大会 大会詳細

近投で手返しよく良型を攻略
坂手良祐選手が初優勝!

 


 

1位 坂手 良祐 選手/2位 塩﨑 賢 選手/第3位 妹尾 泰博 選手

日時 2022年6月25日(土)、26日(日)
場所 弓ケ浜(鳥取県)
主催 株式会社シマノ
後援 鳥取県米子市、米子市観光協会、公益財団法人とっとりコンベンションビューロー
皆生温泉組合、皆生グランドホテル天水
天候 1日目晴れ、2日目晴れ時々曇り

去る6月25日(土)、6月26日(日)の2日間にわたり、鳥取県弓ケ浜にてシマノ・ジャパンカップ投げ(キス)釣り選手権大会 全国大会を開催いたしました。

 

今大会に出場したのは、全国各地で開催された地区大会からセミファイナル大会(東日本、西日本)の激戦を勝ち抜いた精鋭21選手に、2019年度全国大会上位入賞者3名のシード選手を合わせた24選手。

 

全国大会の舞台は大山の麓に広がる白砂青松の地、弓ヶ浜。数も型もねらえる抜群の魚影を誇るキャスター達から人気の釣り場です。時間や日毎に応じて状況は刻々と変化し、釣果を上げるにはその状況に合ったテクニックが求められます。まさに全国大会の舞台に相応しい釣り場です。

 

「下見の段階では、魚が多く、簡単に釣れる」、「3色あたりと5〜6色あたりの群れが濃い」、「23〜24㎝も混じる」といった声が聞かれた今年の弓ヶ浜。概ね、例年通りといった状況でした。しかし、大会前日、16時頃と、19時頃の二度にわたり、バケツをひっくり返したようなゲリラ豪雨に見舞われ、これが明日からの試合にどう影響を与えるか、気になるところです。

 

大会前日には、翌日から始まる予選リーグ5試合のブロック分け、出走順が決定する抽選会が行なわれました。また、今大会より、SDGsを見据えた取り組みに則り、水産資源保護の観点から、競技時間を1試合60分に短縮し、10匹までの総重量で勝負が争われることになりました。ハリ数も5本以内です。10匹キープ後は良型ねらいに切り替え、小型はリリースするなど、このルールに対して選手達はどう自分の釣りを組み立てていくかも注目ポイントです。
予選リーグで選手たちは8名ずつA・B・Cの3ブロックに分かれて5試合を行ない、釣りあげたシロギス10匹の総重量によって各ブロックで順位が決定。その順位差に応じて各試合でポイントを付与。そして、予選リーグ5試合の合計ポイントで総合順位が決まり、上位3名が決勝戦進出となります。

 

大会初日、6時45分に選手たちは本部のテント前に集合し、クーラーチェックをすませて競技ブロックへ移動。7時20分、予選リーグ第1試合がスタートです。下見の情報をもとに、3〜4色の近投に徹する選手が多いです。良型は単独で行動していることが多いとも言われ、時おり6色前後を投げてサイズアップをねらう選手も見られました。どの選手も多点掛けを混ぜつつ数を伸ばしていきますが、良型1匹を出すのに苦労しています。
60分の戦いが終了。検量前に10分間の選別時間が設けられ、この時間で選手は自分が釣った中で最も重量のある10匹を選び、検量に持ち込みます。各自、電子測りなどで、シビアに選定を行なっていました。
この時、選手からは「魚がいない」といった声がよく聞かれました。数を釣るのは簡単ですが、周りと差を付けられるような1匹がなかなか入らなかったようです。
検量の結果、Aブロック1位は298g釣った岡本哲選手、Bブロック1位は283g釣った原田勇選手、Cブロック1位は302g釣った日置淳選手となりました。なかでも日置選手が60〜70gありそうな良型を持ち込み、選手のなかで唯一の300g超えとなりました。

 

9時5分、予選リーグ第2試合がスタート。南西の風がそよそよと吹きますが、海面は静かです。もう少し風が吹くと、魚の活性は上がりそうです。2試合目は少し釣果が落ちるのが例年の傾向で、300gを超える選手はいませんでした。292g釣った塩﨑賢選手と坂手選手がAブロック1位、Bブロックは270g釣った三代川君江選手が1位、Cブロックは274g釣った前会大会チャンプの健代利夫選手が1位になりました。三代川選手は女性初のファイナル進出者。良型を含む多点を混ぜながら、ていねいな釣りで釣果を伸ばしていました。

 

昼食を挟んで11時35分から第3試合がスタート。第3試合では釣果が上向きだし、石田高生選手はこの日全体での最高釣果となる372gを釣りAブロック1位。 Bブロック1位は291g釣った田中義一選手、Cブロック1位は271g釣った日置選手となりました。
初日を終えて、暫定1位が日置選手(21ポイント)、2位が塩﨑選手(20.5ポイント)、3位が石田選手(20ポイント)、4位が坂手選手(18ポイント)、5位が妹尾泰博選手(18ポイント)、6位が伊藤幸一選手(17ポイント)となりました。1試合ごとに順位が目まぐるしく変わるジャパンカップ。明日も2試合残っており、接戦が予想されます。

 

2日目は早朝5時に集合。朝焼けが眩しい清々しい朝です。クーラーチェックを行ない、競技ブロックへ移動。5時25分に第4試合がスタート。4試合目はブロックトップがいずれも300gオーバーという今回の大会ではハイウエイトの戦いでした。検量の結果Aブロック1位が353g釣った高井純一選手、Bブロック1位が316g釣った健代選手、Cブロック1位が308g釣った園部利行選手となりました。

 

7時10分、泣いても笑っても最後の予選リーグ第5試合がスタートです。4試合を終えての暫定順位は1位塩﨑選手(27.5ポイント)、2位日置選手(24ポイント)、3位伊藤選手(24ポイント)、4位妹尾選手(23ポイント)、5位坂手選手(23ポイント)、6位石田選手(21.5ポイント)。2〜3位、4〜5位が同ポイントで、占有率で順位が決まるという混戦模様です。
上位6名のブロック分けを見ると、Aブロックに塩﨑選手1名、Cブロックに妹尾選手1名なのに対し、Bブロックは日置選手、伊藤選手、坂手選手、石田選手という4名が入っています。非情にもポイントの奪い合いが行なわれる死のブロックとなるのは明らかです。ポイント差で見ると、塩﨑選手の決勝進出はかなり濃厚。残りの2席を争うことになりますが、妹尾選手の順位しだいではBブロックからは1人しか決勝へ進めなさそうです。緊張の試合が始まりました。

 

ここで一気に抜け出したのが、Bブロックの坂手選手です。スタートは8番で、どこも入れるポイントがなく、スタート場所で右往左往してしまいました。ですが、今回比較的好釣果が出ている川筋の手前が空いているのに気がつきエントリー。そこまで大きいのは釣れませんでしたが、40gクラスが2匹、そのあとも30g後半、30g前後のシロギスが立て続けに釣れました。「大きいのが釣れていないから順位は微妙か」と思っていたら、合計281gで、Bブロック1位。5位から一気に予選1位通過となりました。「大ものねらいとはいえ、アベレージがいかに重要かを思い知った」と振り返っています。試合前半でトラブルがあり、リズムを崩してしまった塩﨑選手はAブロック6位となりましたが、2位通過。最後の1席はCブロック3位の妹尾選手が手にしました。初日暫定1位で終えた日置選手はBブロック4位の結果となり、予選4位。涙を飲む結果となってしまいました。

 

決勝の競技エリアは海に向かって左から約30mの範囲でA・B・Cのブロックに分けられ、前半戦・中盤戦・後半戦を各30分の競技時間で戦います。5分間のインターバルをとってブロックをローテーションしながら釣っていきます。ローテーションの順番はA B C、B C A、C A Bになります。

 

予選1位通過の坂手選手がCを選択。下見と今回の戦いから川筋がいいと感じていたため、Cを選んだそうです。有望エリアで良型を最初に釣って、他の選手を引き離したい思惑です。2位の塩﨑選手がAを選択、最後の妹尾選手がBとなりました。

 

9時、ホーンの合図とともに決勝の前半戦がスタートです。Aに入った塩﨑選手がまさかの仕掛けトラブルで他の選手から遅れること数分後に第1投。しかも第1投では素バリを引いてしまいます。
一方、坂手選手、妹尾選手は3~4連でスタート。出遅れた塩﨑選手は嫌な雰囲気を断ち切るため、やや沖めの5色あたりに仕掛けを入れるとすぐにアタリが入って4連。

 

早くも2投目で試合が大きく動くことになりました。ガッツポーズとともに坂手選手に良型が2匹掛かりました。遠めでも一目で分かるいいサイズ。後で話を聞くと、60gクラスと50gクラスの2連でした。
塩﨑選手、妹尾選手も多点を織り交ぜながら、数を伸ばしていきますが、坂手選手が釣った2匹には及びません。坂手選手が3色あたり、そのやや沖めを妹尾選手がねらい、5色前後を塩﨑選手が釣るという展開が続いていきます。

 

5分のインターバルを挟み、9時35分中盤戦がスタート。またしても坂手選手が良型を含む4連で他を引き離します。3色前後を投げていましたが、そのやや沖の4色あたりにねらいを変えたところ、16〜17㎝の群れに遭遇。少し大きいサイズを5〜6匹釣ることに成功し、重量を伸ばします。塩﨑選手はコンスタントに4〜5連で釣果を伸ばしますが、妹尾選手は掛かっても少し小さめで苦戦しています。後半、坂手選手は少しペースダウンしましたが、良型を釣っているのが強いです。

 

そして、10時10分、最後の30分です。
前半戦の後半からエンジンはかかっていましたが、終盤戦は塩﨑選手の独断場。投げる度に4~5連で、しかもペースが早く投てき回数も多い。やはり、5色くらいに投げて、少し待って4〜5連といういいペースで釣れています。しかし、10尾の総重量のため、サイズアップをねらって、入れ替えをしなくてはなりません。時おり、塩﨑選手は待ち時間を20秒近くと多めにとり、良型を誘いますが、掛かるのは同サイズばかりです。坂手選手はペースダウン。素バリを引いたり、掛かってもピンギス1尾など、いまいちリズムに乗れません。しかも終盤にマゴチを掛けてしまい、大幅なタイムロス。妹尾選手は平常心で自分の釣りを貫き通し、着実に釣果を伸ばしています。

 

最後のホーンが鳴り、決勝戦が終了しました。ここから10尾の検量が始まります。総重量勝負ではないため、誰が勝っているのか読みにくいです。前半戦、中盤戦ではリードしていましたが、終盤戦の失速が気になる坂手選手。数で圧倒しつつ、時おり良型を釣っていた塩﨑選手。自分の釣りを貫き通し、黙々と釣果を上げていた妹尾選手。三者三様の釣りで善戦した選手たちです。
検量の結果、見事栄冠を勝ち取ったのは354gを釣った坂手選手。続いて、2位が334gで塩﨑選手、3位が286gの妹尾選手と続きました。

 

「早い段階から沖にはいないと見切りをつけて、4色より手前をねらいました。決勝では前半戦、中盤戦で良型を確保し逃げ切れたのがよかったです。下見で、各ブロックどこで大きいのが釣れていたのか、そこをしっかり把握できていたのも強みだったと思います」と振り返る坂手選手。綿密な下調べ、状況に応じた的確な判断。そして、ルールに合わせ、手返しアップやトラブルを減らし、大ものに対応した仕掛け選択といった、すべてが噛み合って手にした栄冠でした。

 

最後になりましたが、ご後援をいただきました鳥取県米子市、米子市観光協会、公益財団法人とっとりコンベンションビューロー、皆生温泉組合、皆生グランドホテル天水をはじめ、関係各社様、各所様に重ねて御礼を申し上げます。