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クロダイ(チヌ)釣り選手権大会
第12回全国(2024年度)大会 大会結果
シマノ ジャパンカップ クロダイ(チヌ)
第12回全国(2024年度)大会 大会詳細
大逆転で激戦を制し、辻 憲志郎選手が初優勝!
1位 辻 憲志郎 選手/2位 比嘉 宗信 選手/3位 山田 雄士 選手/3位 下西ノ園 大地 選手
日時 | 2024年9月27日(金)、28日(土) |
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場所 | 宿毛湾一帯(高知県宿毛市) |
主催 | 株式会社シマノ |
後援 | 高知県宿毛市、一般社団法人宿毛市観光協会 |
天候 | 晴れ |
去る9月27日(金)、28日(土)、高知県宿毛市の宿毛湾一帯で「第12回(2024年度)シマノ ジャパンカップ クロダイ(チヌ)釣り選手権 全国大会」を開催いたしました。本大会は4月開催予定でしたが、直前に起こった豊後水道地震の影響で9月に延期して開催となりました。
大会会場となった宿毛湾は、50cmオーバーの年無しが高確率で釣れるポイント。さらに、宿毛湾のクロダイはサイズ以上のパワフルな引きを見せるため、「マッスルチヌ」と称されて注目を集めています。そんな宿毛湾が全国大会の舞台に選ばれたのは、今回で7度目となります。
出場選手は地区大会を勝ち抜いた21名に、2023年の全国大会で上位入賞した3名のシード選手を加えた24名の精鋭たち(26名の予定でしたが2名欠席)。今大会には、前回大会優勝の濱川翔伍選手に加えて、第2回大会優勝の小松和伸選手と第10回優勝の波多江義孝選手が出場。まだ誰も達成していない、ジャパンカップクロダイでの2度目の優勝者が出るのかも注目を集めました。
今大会から大会スケジュールが、1日目に予選リーグ3試合を行い、その上位8名が2日目に行われるトーナメント戦(準々決勝、準決勝、決勝戦)に進出する形に変更されました。
予選リーグ3試合は、毎回異なる相手と2時間のマンツーマンで対戦し、5尾の重量で勝敗を決定。勝った選手は勝ポイント(勝ち:3点、引き分け:1点、負け:0点)を獲得します。予選リーグの順位は、3試合での合計勝ポイントと合計重量差(各試合での対戦相手との釣果重量差の合計)で決まります。
初日、選手たちは朝5時半に大会本部が設置された宿毛市・藻津漁港に集合。受付で抽選を行い、ゼッケン番号と予選リーグ3試合の対戦相手が決まりました。
予選リーグ 第1試合
予選リーグは湾奥から沖まで、宿毛湾の広範囲の磯を使用して行われます。各試合で使われる磯はあらかじめ決められており、選手は予選リーグ3試合では同じ磯に上がらず、釣座選びの優先権は1〜2回(3連続の優先は無い)と設定されています。
エサやタックルチェックを行った後、抽選で決まった対戦組に分かれて西田渡船さま、フィッシング吉村さまの渡船で磯に向かいます。選手たちは審判と一緒に渡礁し、準備が整った組から審判の合図で競技をスタート。
今大会から試合時間が前半1時間、後半1時間の計2時間となり、昨年の3時間から1時間短縮されましたが、第1試合終了後の検量には24名中17名がクロダイを持ち込みました。全国から集まった精鋭たちの釣技の高さと宿毛湾の魚影の濃さのわかる試合となりました。
第1試合では優勝経験者の小松選手、波多江選手、濱川選手はともに勝利して勝ポイント3を獲得しました。
予選リーグ 第2試合
検量を終えると選手たちは組合せ順に順次出船していきます。第2試合では、前回大会の決勝戦で競い合った濱川選手と下西ノ園大地選手(前回大会2位)が「大藤島の笠松」で対戦。両選手とも第1試合を勝利しているため、この試合で勝った方が決勝リーグへ近づきます。
前半戦、4尾のクロダイを釣り上げてリードしたのは、前回決勝戦で惜しくも敗れた下西ノ園選手。後半は釣座を交代するため、濱川選手が追い上げるかと思われましたが、パターンを掴みきれずにノーヒット。下西ノ園選手が昨年の雪辱を果たして勝ポイントを6としました。
その他に、小松選手と波多江選手、三浦貴選手が2勝目を上げました。この時点で2勝(勝ポイント6)の選手は4名となり、1勝1分や1勝1敗の選手も決勝トーナメント進出の可能性があります。
第3試合
初日の最後の試合となる第3試合がスタート。ここまで暫定1位の小松選手は「ニシダ前の西」で幸田武志選手と対戦。グレやフエフキダイなどが多数ヒットして苦戦する中、前半に貴重な1匹を釣り上げた小松選手が勝利。3勝(勝ポイント9)をあげて決勝トーナメント進出を決めました。
2回戦終了時に1勝1分(勝ポイント4)だったのが辻 憲志郎選手。湧川 朝則選手との激戦を、終了近くに追加した1尾で制して2勝1分(勝ポイント7)とし、決勝トーナメント進出を決めました。
ここまで2勝を上げていた波多江選手は、河端尚敏選手と対戦。河端選手が釣果を上げる中、0尾に終わり2勝1敗(勝ポイント6)となりました。同じく2勝を上げていた下西ノ園選手は猿屋 茂雄選手に、三浦選手は力石 將弘選手に敗れてそれぞれ2勝1敗(勝ポイント6)となりました。第2試合で敗れた濱川選手は、第3試合を勝利して2勝1敗(勝ポイント6)としました。
混戦となった3回戦で56cmオーバーの大型クロダイを釣り上げたのが比嘉選手。「ジャノクビ」でエサ取りに邪魔をされて苦戦する中、クロダイが上ずっていると感じてタナを浅くしたところ、ラスト5分に大型がヒット。慎重に取り込み、2勝1敗(勝ポイント6)としました。
第3試合を終えて9選手が2勝1敗(勝ポイント6)で並びました。合計重量差によって、この中の6名が決勝トーナメントに進むことができます。決勝トーナメント進出選手は、この夜に開催された懇親会で発表されます。
27日の夜に開催された懇親会では、選手たちは宿毛のおいしい料理を食べながら交流を深めました。そしていよいよ決勝トーナメント・準々決勝進出者の発表。
1位は勝ポイント9の小松選手、2位は勝ポイント7の辻選手。そして勝ポイント6の9名の中から決勝トーナメントに進出したのは、3位 上原 誠選手、4位 波多江 義孝選手、5位 山田 雄士選手、6位 下西ノ園 大地選手、7位 力石 將弘選手、8位 比嘉 宗信選手の6名でした。
準々決勝
2日目。準々決勝進出選手8名が藻津漁港に集合。対戦の組合せは予選の順位によって決定。A組が小松選手と比嘉選手、B組が波多江選手と山田選手、C組が下西ノ園選手と上原選手、D組が力石選手と辻選手です。
A組の試合会場は「浅瀬」。両選手ともクロダイを釣り上げましたが、第3試合と同じく浅いタナを狙った比嘉選手が1,010g差を付けて小松選手に勝利しました。
B組の試合会場は「カンノンシタ」。予選リーグでは小・中型のクロダイが数釣れた磯ですが、この日は一転して喰い渋る状況。その中で小型の中に30cm級のクロダイを混ぜた山田選手が、107g差で波多江選手を破って準決勝に勝ち上がりました。
C組の試合会場は「片島入口」。下西ノ園選手が良型をキャッチするなど3,402gの好釣果を上げて、上原選手に2,319g差を付けて勝利しました。
D組の試合会場は「渡り小島の西のハナ」。前半、右の釣座に入った力石選手が2尾を釣り上げてリードして後半戦に突入。前半0尾の辻選手ですが、開始前から後半に右の釣座に入った方が有利と考えていたため、落ち着いて後半戦をスタート。その読みの通り良型を含む3尾をキャッチし、力石選手に2,275gの差を付けて勝利しました。
準々決勝まででジャパンカップクロダイ優勝経験者3名が姿を消しました。この大会で2度優勝することの難しさと、参加選手のレベルの高さがわかる試合展開となりました。
準決勝
準決勝からは、敗退した選手もギャラリーとして試合を観戦します。準決勝の組合せは、準決勝A組が比嘉選手と山田選手で試合会場は「池島の灯台下2番」、B組が下西ノ園選手と辻選手で試合会場は「ぶどう園下」。
A組は右の釣座に入った比嘉選手が開始早々に小型ながら3尾を釣り上げて先行します。しかし、ここから両選手ともに釣果が出ないままに前半戦を終了。後半戦に入ってもクロダイが追加できないままラスト10分を切ったところで、コーンを大きめに付けていた山田選手が大きく竿を曲げました。良型のクロダイとわかるヒットにギャラリーの視線が山田選手に集まります。しかし、やり取りする山田選手の後ろで、比嘉選手も竿を大きく曲げました。試合終了間際のダブルヒット! 比嘉選手は、山田選手のやり取りに意識を向けていたところ、手元までくるアタリがきたそう。
まずクロダイを取り込んだのは山田選手。良型のクロダイが玉網に入ったところで、山田選手の「よっしゃ!」と大きな雄叫びが磯に響きました。直後に比嘉選手も取り込みに成功。玉網に入ったところで針が外れるくらいに喰い込みが浅く、山田選手のやり取りを見ていなかったら早アワセになって掛からなかったかもしれなかったとのこと。
そして、そのまま試合終了となりました。検量の結果は、前半に釣り上げた3尾の小型クロダイが効いて、711g差で比嘉選手が念願の決勝戦進出を決めました。
一方のB組は熊本県の2名の勝負となりました。これまでジャパンカップクロダイの頂点を目指して切磋琢磨してきた釣友2人が、全力でぶつかり合いました。
まずクロダイをヒットさせて先行したのは下西ノ園選手でしたが、その後に辻選手もクロダイをキャッチ。前半戦は下西ノ園選手2尾に対して辻選手3尾とリードして終了。釣座を交代しての後半戦はどちらもヒットがないまま、残り時間が少なくなったところで下西ノ園選手が竿を曲げました。良型と思われる引きでしたが、惜しくもバラシ。
検量の結果、辻選手が前回に続いての決勝戦を目指す下西ノ園選手を721g差で破って決勝戦進出を決めました。
決勝戦
決勝戦の舞台となったのは、良型クロダイの実績の高い「大島0番」。釣座選択権を得た辻選手が前半戦に左側の釣座を選び、ギャラリーや報道が見守る中、14時5分に決勝戦開始のホーンが鳴り響きました。
開始10分でまず竿を曲げたのは比嘉選手。『鱗海アートレータ 0.6号』を大きく曲げながら、足元のシモリをうまくかわして良型を取り込みます。ポイント沖は砂底ですが、手前には障害物(根)があり、その際を的確に狙ってヒットさせました。その5分後、再び比嘉選手が竿を曲げ、2尾目の同サイズの良型をキャッチ。
この直後に辻選手も竿を曲げますが、根に入られて惜しくもラインブレイク。辻選手はそこからの仕掛け作りでもトラブルがあって、前半なかなか波に乗れません。
前半終了5分前、再び比嘉選手が良型をキャッチ。それに合わせるように辻選手も竿を曲げますが、根に擦れたのかチモト切れ。そのまま比嘉選手が3尾でリードしたまま前半戦が終了しました。
5分のインターバルで釣座を交代して、15時10分に決勝戦後半戦がスタート。
前半、バラシやトラブルがあって0尾だった辻選手ですが、後半に良いと思う右の釣座に入る考えだったため、ここからが勝負と思っていたとのこと。
辻選手が狙うのも障害物の際。ウキ止めを使わないスルスル仕掛けでサシエサを底まで沈ませる釣りで開始5分でヒット。『鱗海アートレータ0.4号』を大きく曲げながら手間に広がるシモリをかわして取り込んだのは良型クロダイでした。寄せてきたところで宿毛湾のマッスルチヌが左に横走りして、境界線を超えそうになりますが、竿を全力でためてギリギリの所で止めて取り込み成功。
そして5分後に再び辻選手が良型をキャッチし、ついに3尾で比嘉選手と並びました。その後も続けざまに2尾を釣り上げて、尾数で比嘉選手を逆転し、5尾のリミットを達成しました。
その後も辻選手がクロダイを追加していきますが、後半戦ラスト10分で比嘉選手が4尾目となる良型クロダイをキャッチし追い上げます。検量は5尾までの重量なので、比嘉選手があと1尾釣って5尾とすると勝負の行方はわかりません。数では大きく差を付けている辻選手ですが、比嘉選手は5尾揃えてくるだろうと考えて、集中力を切らさずに釣り続けていきます。
決勝戦も残り1分となった時、辻選手が竿を曲げてクロダイをキャッチ。辻選手は後半1時間で8尾のクロダイを釣り上げました。ここでホーンとともに2時間の激闘が幕を閉じました。最後まで激闘を繰り広げた両選手に、ギャラリーから惜しみない拍手が送られました。
決勝戦で釣れた12尾のクロダイはいずれも40cmを超える良型揃いでした。
本部に戻っての検量の結果は、辻選手が5尾で5,894g、一方の比嘉選手は4尾で4,967g。後半戦の劇的な逆転で辻選手が初の栄冠を手にしました。