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磯(グレ)釣り選手権大会
第39回(2025年度)全国大会 大会結果
シマノ ジャパンカップ 磯(グレ)第39回(2025年度)全国大会 大会詳細
終始安定した戦いぶりで
友松信彦選手が通算6度目の全国制覇達成!

1位 友松 信彦 選手/2位 小川 稜 選手/3位 谷脇 英二郎 選手/3位 高須賀 祐太 選手
| 日時 | 2025年11月29日(土)、30日(日) |
|---|---|
| 場所 | 五島列島 福江島 福江地区の磯(長崎県五島市) |
| 主催 | 株式会社シマノ |
| 後援 | 一般社団法人 五島市観光協会 |
| 天候 | 晴れ |
去る11月29日(土)、30日(日)、長崎県五島市福江島の福江地区一帯で、「第39回(2025年度)シマノ ジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権 全国大会」を開催いたしました。
本大会は全国各地で行われた地区大会とセミファイナルを勝ち抜いた20名に、2024年の全国大会で上位入賞した4名のシード選手を加えた総勢24名の選手が出場。20代から60代まで幅広い年齢層の選手がエントリーするなかで、ディフェンディングチャンピオンの土肥倫太朗選手をはじめ、友松信彦選手、田中修司選手、上田泰大選手、川添晃司選手と歴代優勝者が5人も名を連ねる豪華な顔ぶれ。このほか表彰台経験者も多数参戦しており、初戦から大混戦が予想されました。
今大会は1日目に予選リーグ3試合を行い、上位8名が2日目に行われるトーナメント戦(準々決勝、準決勝、決勝戦)に進出します。
予選リーグは前半50分、後半50分、計100分のマンツーマン対戦で、5尾の総重量で勝敗を決定。勝った選手には勝ポイント(勝ち:3点、引き分け:1点、負け:0点)が付与され、合計勝ポイントと合計重量差で予選順位が決まります。
予選リーグ 第1試合
大会初日は雲ひとつない晴天に恵まれました。風も微風で、グレ釣りには最高の陽気です。
未明、大会本部に集合した選手は、タックルとエサのチェックを受けた後に3隻の渡船に分乗し、それぞれの磯へと渡ります。そして7時10分、各磯で一斉に予選リーグ第一試合が始まりました。
今期における福江地区のグレは比較的よく釣れているものの、木っ端クラスの尾長と良型の尾長、口太が混在している状況。厳しい地区予選とセミファイナルを勝ち抜いてきた選手なので、5尾の規定尾数を揃えることは難しくないかもしれません。しかし総重量での勝負であることに加え、他の選手と勝ち点で並んだ場合は、対戦相手との重量差で順位を決定するため、上位に食い込むためにはできるだけ多く良型を絡める必要があります。
予選リーグ第一試合では、竹中満和選手、友松信彦選手、谷脇英二郎選手が4kgオーバーの釣果をマーク。好スタートを切りました。
予選リーグ 第2試合
10時35分、対戦相手を変えて第二試合が始まりました。予選リーグを突破するには、最低でも2勝1敗の勝ち点6をキープしたいところ。第三試合に希望をつなげるという意味で、第二試合は重要な戦いになります。
第二試合では上げの潮が効き始めたせいか、良型が続々と検量に持ち込まれました。なかでも注目を集めたのが6,646gの釣果を上げた友松選手。大津祥悟選手、小川稜選手も5kg超えを記録し、第二試合は全体的にハイスコアの争いとなりました。
予選リーグ 第3試合
14時20分からの第三試合は、満潮からの下げ潮を狙う試合となりました。ここで5,670gを釣り上げて第三試合トップの釣果を叩き出したのが山口美咲選手。高須賀祐太選手、小松和伸選手、川添晃司選手も5kgオーバーのハイスコアを記録。これで勝負の行方がわからなくなりました。
初日を終え、3戦全勝(9ポイント)で予選を突破したのは、小松和伸選手(1位)、田中信博選手(2位)、上島浩平選手(3位)の3名。続いては2勝1敗(6ポイント)で10名の選手が並びましたが、合計重量差で谷水亮太選手(4位)、谷脇英二郎選手(5位)、友松信彦選手(6位)、高須賀祐太選手(7位)、小川稜選手(8位)が、翌日の準々決勝へ進出しました。なかでも注目を集めたのは、川添晃司選手、上田泰大選手、友松信彦選手と優勝経験者を3名も撃破した上島選手。ビッグネームを相手に堂々とした戦いぶりは見事でした。
準々決勝
明けて大会2日目。準々決勝からはトーナメント戦となります。準々決勝からは釣り上げたグレ10尾の総重量で勝敗を決定します。5尾リミットの予選リーグでは良型1尾で試合をひっくり返すことも起こり得ますが、準々決勝からはきっちり数も揃えないと大逆転は望めません。良型に狙いを絞るか、キーパーを揃えることを優先するかといった具合に、状況に応じた的確な立ち回り方も要求され、準々決勝以降は釣技と戦術の双方が問われることになります。
準々決勝の組み合わせは予選の順位で決定。1組が小松選手vs小川選手、2組が谷水選手vs谷脇選手、3組が上島選手vs友松選手、4組が田中選手vs高須賀選手というカードになりました。
「手代の地」で行われた小松選手と小川選手の対戦は、僅差で競り合う好ゲームとなりました。中・小型が多いながら両者とも巧みに良型を喰わせる展開。検量の結果、5,029g対4,294gと小川選手が735g差で接戦を制しました。
「平瀬の地の南」で行われた谷水選手と谷脇選手の対戦も、がっぷり四つの好試合。表彰台経験者同士の熱いぶつかり合いは、5,696g対4,296gで谷脇選手に軍配が上がりました。
「エー瀬のワンド」で行われた上島選手と友松選手の対戦は、10尾対9尾で数では上島選手が上回ったものの、重量では6,613g対8,273gで友松選手の勝利。良型狙いに徹した友松選手が、ジャイアントキリング・上島選手の快進撃を食い止める結果になりました。
「手代の地の裏」で行われた田中選手と高須賀選手の試合は、2kg台で争う緊迫した展開。ベテランと新時代を担う若手の対戦は、2,942g対2,020gで若さ溢れるアグレッシブな釣りを展開した高須賀選手が勝利をもぎ取りました。
準々決勝では、予選リーグの上位4名が敗れるという波乱の展開。接戦を制して準決勝へ進出したのは、谷脇選手、友松選手、高須賀選手、小川選手です。これで表彰台に上る選手が確定しました。あとは表彰台の“高さ”だけです。
準決勝
続く準決勝のカードは、谷脇選手vs小川選手、友松選手vs高須賀選手。谷脇選手と小川選手の対戦は、「平瀬」にて行われました。小川選手が磯の左側、谷脇選手が右側の釣り座を選択して試合がスタートしました。
潮は干潮から上げに入った時間帯ですが、左右どちらの釣り座も潮が動かず、両選手とも苦戦する展開となりました。開始から間もなく小川選手が立て続けにグレを喰わせますが、釣り上げたのはともに小型の抜き上げサイズ。前半終了まで10分を切ったところで谷脇選手が良型をキャッチし、その後小川選手が小型を追加して3尾対1尾としますが、重量ではどちらがリードしているかわからない状況です。
後半に入ると谷脇選手がペースを上げ、小型が中心ながら数で逆転。直後に小川選手が良型を釣り上げると、その後は一進一退のシーソーゲームに突入。最終的には7尾対7尾の同尾数でタイムアップとなりました。
検量の結果、小川選手が2,850gに対して谷脇選手は2,665g。185gの僅差で小川選手が決勝への切符を手にしました。
友松選手と高須賀選手の対戦は、「長瀬」にて行われました。強くなり始めた南西風を背に受ける形で、磯右側の先端に高須賀選手が、左側のワンド奥に友松選手が釣り座を取って試合がスタートしました。
最初に竿を曲げたのは友松選手でした。まず35cm級、間を置かずに同サイズを追加。順調な滑り出しを見せます。
この試合でも友松選手は良型狙いに徹していました。良型を選んで釣るカギのひとつとして友松選手が挙げていたのは“距離”です。木っ端が大挙してコマセに群がる近〜中距離を避け、遠投で30mほど先にある沈み根の沖まで遠投してグレを喰わせました。
高須賀選手も40cmクラスを釣り上げて反撃を開始。しかし後が続きません。その後は友松選手が1尾追加したところで前半が終了。釣り座交代となりました。
後半に入り、友松選手のペースが俄然アップしました。後半だけで6尾。それも35〜40cm少々のグッドサイズばかりです。高須賀選手もワンド奥で30cmクラスを釣り上げて追い上げを図りますが、ツボに入った友松選手の勢いを止めることはできません。
釣り座優先権のある友松選手が、前半にあえて不利なワンド奥の釣り座を選んだのには理由がありました。コマセを撒いてグレが反応し始めるのには時間が掛かります。そこで前半は奥まったポイントで1尾でも拾っておき、コマセが効き始めた後半に先端の好ポイントで数を伸ばすという作戦です。
結果、友松選手が7,489gに対し高須賀選手が1,722g。これまで強豪を相手に堂々とした戦いを見せてくれた高須賀選手ですが、通算5勝の友松選手が貫禄を見せつける結果となりました。
決勝
決勝の舞台は、名礁が軒を連ねる福江の磯でも、指折りの実績を誇る「手代のハナレ」。まずは北東に向いて右の先端に友松選手、左の角に小川選手が釣り座を構えました。
13時5分、試合開始のホーンが高らかに鳴り響きました。
この日の潮回りは若潮で、試合開始の時刻はちょうど上げ5分といったところ。本来なら動き始めた上げ潮が効き始める時間帯です。南から入ってきた上げの潮は磯の東沖を抜け、釣り座の前の潮は前方へ引かれていくはずでした。
しかしこの日は福江島との水道にあたる釣り座の後方を潮が抜けてしまい、それに引かれた潮が釣り座に当ててくるという好ましくない状況。しかも磯の裏はハエ根が張り出しているうえに、南寄りの風が強く吹き付けていて竿を出すのは困難です。目の前の当て潮をいかに攻略するか。これが勝敗の分かれ目になることは、誰の目に見ても明らかでした。

最初に流れをつかんだのは小川選手でした。まずは35cmクラスをキャッチ。そして間を置かずに良型がヒット。慎重にやり取りを繰り返し、玉網に収めたのは、40cmオーバーの尾長でした。
友松選手のファーストフィッシュは手のひらサイズの尾長。ここで早くも友松選手が動きました。「軽い仕掛けでは当て潮の中で張りにくい」との判断から、得意パターンである00ウキの全遊動仕掛けを3Bの半遊動仕掛けへと変更。これが吉と出ました。
「この仕掛けがなじむ場所、止まる場所を探すうち、沈んでしまう00ウキでは見過ごしていた潮の弛みを見つけたんです」
40cmクラスを連発。友松選手の反撃が始まりました。
一方の小川選手は、速くなった当て潮に苦戦していました。釣り座交代の直前に大型を喰わせますが、足下まで寄せたところで痛恨のバラシ。足下に当てた潮の先には大きなハエ根があり、喰わせた魚はこの根を越して寄せる必要があります。このハエ根が実に厄介でした。ましてやこの周辺は40cmオーバーの良型尾長がよく喰ってくるエリア。ハエ根周りを攻めるにはリスクを伴いますが、ここを攻めなければ勝てません。
友松選手が5尾、小川選手が2尾のグレを釣り上げたところで前半戦終了。釣り座を交代して後半戦が始まりました。
小川選手が手を焼いていたハエ根は友松選手も苦しめました。ハリスは大型尾長に備えてフロロカーボン2〜2.5号。仕掛けを早くなじませ、なるべく近くのポイントで喰わせるため、半遊動仕掛けのハリスに3号と4号のガン玉を打ち足しました。
ハエ根越しのやり取りになる以上、根ズレは避けられません。しかし何度かのバラシはあったものの、太めのハリスと巧みなロッドワークで着実に釣果を伸ばしていきます。
小川選手はBの半遊動仕掛けを駆使し、捉えどころのない当て潮へ果敢に挑みました。前年の第38回大会では、予選リーグで1勝もできずに敗退。この悔しさをバネに、攻めの軸としていた0ウキの全遊動仕掛けを封印し、1年間みっちりと半遊動仕掛けを練習しました。オーソドックスな仕掛けを使い込むことにより、新たな視界が開けたと小川選手は語ります。
その成果は、決勝戦においても遺憾なく発揮されました。1尾、そしてまた1尾。逃げる友松選手を追いかけます。
そして試合終了。悪条件の中、最後の1分1秒まで戦い抜いた2名のファイナリストに、ギャラリーからは賞賛の拍手が贈られました。
検量の結果、友松選手が5,080g、小川選手が2,571gで友松選手の勝利。これで友松信彦選手は通算6度目の優勝を達成。来年度、友松選手は前人未踏のV7に挑みます。




