釣り選手権大会

2019年度全国大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ 鮎  2019年度全国大会 大会詳細

怒涛の追い上げで手にした栄冠
加藤光一選手が初優勝

 


 

1位 加藤 光一 選手/2位 西部 俊希 選手/3位 高橋 祐次 選手

日時 2022年6月14日(火)、15日(水)
場所 長良川郡上(岐阜県)
主催 株式会社シマノ
後援 郡上市、郡上漁業協同組合
天候 曇り時々雨

延期になっていた2019年度シマノ・ジャパンカップ鮎釣り選手権全国大会が、6月14日(火)、6月15日(水)の2日間にわたって、岐阜県長良川・郡上大和地区にて開催されました。
シーズン初期ということもあり、トップシーズンに開催される普段の全国大会とはまた違った戦略が求められました。
今シーズンの長良川は解禁から渇水気味で、場所によっては垢腐れも見られます。人気河川ゆえ、釣り人も多く、プレッシャーが高いタフコンディションの中での勝負になりました。下見をした選手からは「1尾釣ると次が続かない」、「ポイントの差し返しが効かない」、「ナワバリアユと群れアユをどう釣り分けるかがカギ」といった声が聞かれました。

 

大会前日には、翌日から始まる試合全ての対戦相手、入川ブロック、出走順を決定する抽選会が行なわれました。出場選手は2018年の全国大会上位入賞者2名と、全国で行なわれた地区大会決勝を勝ち上がり、セミファイナル(東日本、中日本、西日本大会)も勝ち抜いた21名を合わせた、総勢23選手(2名欠席のため、実参加者は21名)。

 

予選は2日間に渡り、4試合が行なわれます。A(下万場橋・下流端〜名皿部橋・上流端)、B(大会本部前200m下流の絞り込み下段〜杉ケ瀬・ヤナ付近)の2ブロックに分かれて各90分間の熱戦が繰り広げられます。
今大会では約20名の選手を2ブロックに分けて戦うため、トップと最下位では10点もの差が出ることがあり、大きな失敗は許されません。選手たちからはいつも以上に緊張感が伝わってきます。

 

7時を回り、オトリを配り終えると、出走順にしたがって各ポイントへ。7時半、ホーンの合図とともに予選リーグ第1試合がスタート。
開始早々、Aブロックの石積み堰堤に入った加藤光一選手が立て続けに3尾掛けて、天然を確保して、トロ場へ移動。ここでも2尾掛けたところで、得意な瀬へ。ここからどれだけ釣果を伸ばして来るか、注目が集まりました。神社前の100mほど上流に入った村田寅選手も順調に掛けています。
全体的に見れば、A、Bともに低調なスタートでしたが、Bの方が、竿が曲がっていた印象です。釜淵橋より上流では苦戦を強いられる選手が多かったですが、橋下流に入った小山清二選手、髙橋祐次選手、楠本慎也選手の3名が熱い火花を散らしています。
90分の戦いが終わり、Aは村田寅選手、加藤光一選手の両名が9尾でブロックトップ。続いて、森下智康選手、佐川健選手、城家良寿選手、西部俊希選手が6尾釣るという混戦模様です。
Bは小山清二選手が14尾釣りトップ、続いて髙橋祐次選手、楠本慎也選手が10尾釣り2位タイ。9尾釣った沓澤伸選手、西山順一選手が4位タイにつけています。

 

9時40分に予選リーグ第2試合がスタート。またしても加藤光一選手がいいスタートを切りました。Bブロックの栗巣川合流点に入り開始1分で掛けるとその後も立て続けに掛けて釣果を伸ばしていきます。
2試合目はAブロックの野崎秀則選手が9尾でトップ、1試合目トップ通過の小山清二選手が2位に付けました。Bブロックは1試合目から引き続き、加藤光一選手が11尾でトップ、続いて小林正幸選手、小沢聡選手、村田寅選手が9尾釣り2位で並びました。

 

予選2試合が終わった時点のトップ3選手は、加藤光一選手が1位(21.5ポイント)、2位が小山清二選手(21.0ポイント)、3位が村田寅選手(19.5ポイント)となりました。しかし、その下には4位の楠本慎也選手(18.0ポイント)、5位の野崎秀則選手(16.5ポイント)、6位の髙橋祐次選手(14.5ポイント)、7位の西部俊希選手(14ポイント)が控えており、虎視淡々と上位をねらっています。1試合ごとに順位が目まぐるしく変わるのがジャパンカップですので、先が全く読めません。

 

昼食休憩を挟み、初日最後の予選リーグ第3試合が、12時半からスタートです。
Aブロックでは小山清二選手、村田寅選手、野崎秀則選手、髙橋祐次選手、Bブロックでは加藤光一選手、楠本慎也選手、西部俊希選手といったトップ勢の同行に注目が集まります。

 

Aブロックで気を吐き、入れ掛かりを見せたのが髙橋祐次選手。石積み堰堤の右岸側をていねいに泳がせで釣り、この日全体でトップとなる15尾。2位の山口隆選手に6尾の差をつける圧倒的な釣果でした。上位の小山清二選手は5位、村田寅選手は6位と失速してしまいます。
Bブロックでは暫定トップの加藤光一選手が開始3分でまさかのドンブリ。誰もがこの試合は終わったかと思いましたが、ここからすぐに立て直しました。仕掛けを張り替えてから1分もしないうちに天然を取り、それから4連続で掛けます。加藤光一選手の下流に入っていた西部俊希選手も、テンポよく掛けています。
結果は10尾釣った西部俊希選手が1位、1尾差で加藤光一選手が続きました。西部俊希選手は加藤光一選手が竿を畳んでいるのを横目で見ながら、最後に1尾追加。粘り勝ちです。
初日が終わっての暫定順位は1位加藤光一選手(31.5ポイント)、2位小山清二選手(28.0ポイント)、3位髙橋祐次選手(25.5ポイント)となりました。占有率の差で4位に野崎秀則選手(25.5ポイント)が入り、5位に西部俊希選手(25.0ポイント)、6位に村田寅選手(24.0ポイント)、占有率の差で7位に楠本慎也選手(24.0ポイント)という上位勢の顔ぶれです。決勝進出の3名はこの7名で争うことになりそうです。

 

翌日、運命を決する予選リーグ最終戦は7時半にスタートです。Aブロックに加藤光一選手、髙橋祐次選手、楠本慎也選手、Bブロックに小山清二選手、野崎秀則選手、西部俊希選手、村田寅選手がそれぞれ振り分けられ、ポイントの取り合いとなりました。

 

Aブロックでは石積み堰堤周辺に入った加藤光一選手、髙橋祐次選手、島啓悟選手らが釣果を伸ばしているようす。その中でもまたしても抜け出したのが髙橋祐次選手。最初の30分間はゼロでしたが、1尾掛けるとバタバタと釣れて11尾でトップ。続いて、8尾釣った加藤光一選手、島啓悟選手が2位で並びます。この順位を受けて加藤光一選手、髙橋祐次選手が予選を抜けたのは明らか。上位争いをしていた楠本慎也選手が2尾の釣果と失速してしまったため、残り1つの席はBブロックから決まります。

 

Bブロックは小林正幸選手、西部俊希選手が8尾で並びトップ。暫定2位の小山清二選手が6尾で4位、暫定4位の野崎秀則選手が5尾で6位、暫定6位の村田寅選手が4尾で9位と順位を落としたことで、1位に食い込んだ西部俊希選手がどこまで追い上げているか気になります。その結果、西部俊希選手と小山清二選手が35.5ポイントで並び、占有率の差でわずかに西部俊希選手が上回りました。その差はわずか0.33です(占有率は西部選手が12.18、小山清二選手が11.85)。

 

予選を1位で通過したのが加藤光一選手、2位が髙橋祐次選手、3位が西部俊希選手となりました。

 

決勝の舞台は本部前の通称「ウインドパーク前」。ABCのエリアが設置され、各選手は3エリアを40分ごとにローテーションしながら釣っていきます。エリア間の移動に使われるインターバルは10分。

 

入川エリアの選択権は予選リーグの上位順になり、加藤光一選手がC、髙橋祐次選手がBを選択し、西部俊希選手がAになりました。下見ではCエリアがよく釣れていたため、加藤光一選手は迷わずCを選択しました。

 

10時に決勝開始を知らせるホーンが鳴り、第1ラウンドがスタート。口火を切ったのはCエリアに入った加藤光一選手でした。加藤光一選手はどの試合でも5分以内に1尾目を掛けており、持ち前のオトリ取りの早さを決勝でも見せます。最初の天然をいかに早く掛けるかがいつも以上に重要になっている今回の大会で、この早さは大きな武器です。ですが、最初に掛かったこの1尾の掛かり所が悪く、瀕死の状態。後が続きません。
Bエリアに入った髙橋祐次選手も早い段階で掛けましたが、痛恨のバレ。うまくリズムに乗れませんでした。
Aに入った西部俊希選手は橋下の右岸側をねらいました。ここは物陰になっていて、解禁後にナーバスになったアユが溜まりやすいポイント。ねらい通り天然を確保し、いい循環が生まれます。10時20〜40分の間に3尾追加し、合計4尾。10分のインターバルを挟み、加藤光一選手はA、西部俊希選手はB、髙橋祐次選手はCに移動。

 

10時50分、第2ラウンドがスタートです。沈黙を破ったのはまたしても加藤光一選手でした。Aエリア上流端の右岸際に立ち、竿を寝かせつつもオバセを意識したオトリ操作でやや水深のあるポイントをねらうとすぐに1尾。しかも真っ黄色のいいアユでした。意外なことに、このポイントは予選では誰も仕掛けを入れていなかったサラ場。その後11時5分、11時8分、11時17分、 11時21分の短時間に4尾追加し、合計5尾。
Bエリアに入った西部俊希選手も、加藤光一選手が掛けたのとほぼ同じ頃に、エリア上流部の左岸のプールから2尾。途中のバレによりアユが散ってしまったようで、思ったより数が伸びませんでした。そこから少し下り、右岸側の深みにオトリを通すも反応なし。そこでアシ際のブレーキがかかるような緩いポイントにオトリを通すとすぐに反応が見られました。しかし、残り時間わずかで、1尾追加しただけに留まりました。「もう少し時間があれば……」と悔やまれます。髙橋祐次選手は苦戦を強いられ、まだ釣果は上げられていません。10分のインターバルで髙橋祐次選手はA、加藤光一選手はB、西部俊希選手はCに移動。

 

11時40分、最終ラウンドがスタート。注目は7尾手にしている西部俊希選手と1尾差で追う加藤光一選手との攻防戦。Bの加藤光一選手ですが、中洲から右岸のトロ場をねらいます。後から聞いた話ですが、この下の瀬をやろうと移動していたところ、呼び止められるように足が止まったそうです。石の色がよかったのと直感で「ここはやるべき」と思ったそうです。普段なら絶対やらないような泳がせ向きのトロ場です。この直感が当たり、加藤光一選手は開始後すぐに掛け、その5分後にも追加。いいスタートが切れました。
ですが、負けじと西部俊希選手も釣果を重ね、デッドヒートが続きます。Aの上限エリアギリギリに入った高橋祐次選手ですが、前半こそ掛かりませんでしたが、後半の20分は最後の追い上げを見せました。両選手を捉えることができるでしょうか。


12時を回ると西部俊希選手の釣果が止まりました。穂先に天上イトが絡むトラブルに見舞われ、リズムが崩れてしまったようです。加藤光一選手もトロ場に見切りをつけ、当初入ろうと思っていた瀬に下っています。
12時15分、西部俊希選手を捉える1尾が加藤さんのタモに収まりました。流れは加藤さんに傾き、その2分後逆転となる1尾を掛け、ほどなくして試合終了を知らせるホーンが鳴り響きました。加藤光一選手が14尾で優勝、準優勝が13尾釣った西部俊希選手、第3位が5尾釣った髙橋祐次選手という最終結果になりました。
普段は引き釣り主体の加藤光一選手ですが、今回は釣った魚の7〜8割が泳がせということです。竿が寝ていてもテンションが抜けて、オバセが入っているイメージでねらいましたとのことです。また、やや水深のあるポイント選択もカギとなったようです。
「チャンスはそんなに無い。何がなんでも掴み取るような気持ちでやりました」と語る加藤光一選手。気持ちでも他の選手を圧倒するような勢いがありました。