クロダイ(チヌ)釣り選手権大会

第10回全国(2020年度)大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ クロダイ(チヌ)
第10回全国(2020年度)大会 大会詳細


 

1位 波多江 義孝 選手/2位 村岡 哲也 選手/第3位 矢野 卓也 選手

日時 2023年5月13日(土)、14日(日)
場所 宿毛湾一帯(高知県宿毛市)
主催 株式会社シマノ
後援 高知県宿毛市、一般社団法人宿毛市観光協会
天候 1日目曇りのち雨、2日目雨のち晴れ

去る5月13日(土)、14日(日)、高知県宿毛市の宿毛湾一帯で第10回シマノ ジャパンカップ クロダイ(チヌ)釣り選手権全国大会を開催いたしました。

 

大型オナガグレの宝庫、沖ノ島、鵜来島の出船基地として知られる高知県宿毛市。一方で、近年は「マッスルチヌ」と称される大型でパワフルなクロダイが生息する湾内が注目を集め、ジャパンカップクロダイ釣り選手権の全国大会の会場として選ばれたのは、今回で5度目となります。
50cmオーバーが高確率で釣れ、ロクマル(60cm)も数多く生息する豊穣の海は、熱戦の舞台としてふさわしい夢の好釣り場です。
しかし、大会が開催された5月中旬は乗っ込みもひと段落し、魚の喰いも落ち着いているようです。1〜2匹といった少ない釣果での争いが予想されました。この難しい状況を選手たちがどう攻略していくかに注目が集まります。

 

シマノの願いは出場選手に最大限の実力を発揮していただくことにあります。しかし、グレに比べ、チヌは絶対的な個体数が少なく、大会参加者中、釣果を得た選手は20~30%しかないというのは普通にあることです。晴れの舞台のマンツーマン対戦で、両選手釣果なしでは困ります。

そこで「釣れる」という可能性にこだわり、大会前日に実釣を行っている選手や船頭からも情報を集め、シマノスタッフも多くのポイントで下見を行ないました。釣果の有無はもちろん、地形や水深、干満や気象・水況等を多角的に分析し、釣り場の予測を立て、事前のマキエ投入を行なって大会の舞台を作りあげました。

決戦の舞台に立ったのは地区大会を勝ち抜いた20名と、2019年度全国大会上位のシード選手2名を加えた、総勢22名の精鋭たち。
予選は3試合を行ない、決勝進出は上位2名のみ。予選の競技時間は前半90分、後半90分の合計180分。マンツーマンで対戦し、勝ちポイントは3点、引き分け1点、負け0点が与えられます。合計ポイントが同点の場合、合計重量差で順位が決まります。決勝は前半60分、後半60分の合計120分になります。

また、SDGsの観点から魚への負担を減らす取り組みの一環で、今年は5匹のバッグリミット制を導入。競技終了後に選定の時間はなく、6匹目が釣れた時点で、入れ替えを義務付けるルールです。

第1試合

エサやタックルチェックを行なう時間になると東の空が白んできました。その後、予選の対戦組ごとに分かれ西田渡船、フィッシング吉村の船に乗り、磯に向かいます。渡礁が完了した磯から審判が時間を管理し、競技スタートです。

 

第1試合で釣果を持ち込んだのは22名中8名という厳しい状況でした。そんな中、暫定1位に立ったのは合計3匹、総重量4,498g釣りあげた波多江義孝選手です。
波多江選手は大藤島の長イソで松本孝幸選手と対戦。潮下(右手)に入った松本選手が開始早々釣りあげましたが、その後試合は動かず。

 

後半戦に入ると、左から右へ流れる潮が少し早くなりました。潮下に入った波多江選手ですが、松本選手が釣った沖をねらっても、仕掛けが止まりません。見切りをつけ、地方寄りの藻場にねらいを切り替えたところ、3連発。暫定首位に躍り出ました。

 

同様に勝ち点3ポイントを手にしたのが2位松浦慶治選手、3位長野秀人選手、4位川添晃司選手、5位矢野卓也選手、6位鰰澤拓也選手、7位村岡哲也選手と続きました。

第2試合

この試合で圧倒的な釣果をあげたのが矢野選手でした。渉礁した磯は1試合目で波多江選手が勝った大藤島の長イソです。

 

前半戦で右手の潮下から入った矢野選手。沖に向かって引かれ潮が流れています。矢野選手はポイントを2〜3ヵ所作り、投入点をローテーションしながら釣っていきます。沖向きよりも地方方面に広がるシモリで好反応が見られました。そこを重点的にねらうと、立て続けに3匹。試合が開始してから1時間ほどで勝負は決しました。50㎝クラスを含む3匹の総重量は6,120gという圧巻の釣果。今大会の最重量でした。

 

1試合目4位の川添選手も良型を3匹揃えて3,186gという好釣果をマーク。この試合で勝ち点3を獲得したのが、矢野選手、川添選手、波多江選手、髙橋 武選手、笹野 三喜男選手、大知正人選手、田城 隆信選手になりました。

 

初日の予選2試合を終えて暫定1位が矢野選手、2位が川添選手、3位が波多江選手。3人とも2勝し、6ポイントで並んでいますが、合計重量差を見ると矢野選手が6,250g、川添選手が5,291g、波多江選手が4,917gとなり、この順位になりました。2試合目の矢野選手の好ウエイトが効いています。
その後に4ポイントの髙橋選手、松浦選手、村岡選手、笹野選手と続き、混戦模様です。

第3試合

注目の1戦が大藤島の笠松で行なわれた矢野選手と村岡選手の戦いです。矢野選手が6ポイント・暫定1位、村岡選手が4ポイント・暫定6位という順位とポイントです。村岡選手が勝つと総合ポイントで逆転。一方、矢野選手は最低でも引き分け以上で終えたいところです。
優先権を得た村岡選手が海に向かって左側の釣り座を選択。矢野選手も左側の釣り座を狙っていました。後に矢野選手は「先に入りたかっただけに、相手の釣りが気になって集中できなかった」と語っています。
上潮ばかりで底潮はあまり効いていない状況です。沖のカケアガリを1点集中でねらう村岡選手。仕掛けが着底したら、ラインを引いたり、穂先で聞いてみたり、誘いを繰り返すと本命のアタリ。値千金の1匹が出て、村岡選手の勝利です。

 

2位の川添選手が田代選手に敗れ、順位を落とします。3位の波多江選手は前回大会王者の百合野崇選手と戦い、引き分け。貴重な勝ち点1を獲得し、耐えました。

 

2日目の予選第3試合の結果、1位が7ポイント獲得した波多江選手、2位が同じく7ポイント獲得した村岡選手、3位が6ポイントの矢野選手となりました。波多江選手、村岡選手が決勝進出です。

決勝

決勝の舞台はイシハト。石積みで作られた波止の周りに、藻場とシモリからなる砂地が展開し、年無しクラスも出ている好実績場です。優先権のある波多江選手が右側の釣り座を選択。左側の釣り座の方がよさそうに見えましたが、前半で向かい風の悪い方を釣っておき、後半に勝負をかける思惑です。
10時30分にホーンが鳴り響き、2時間の勝負が開始。潮はあまり動いておらず、左側の釣り座に緩やかに当たる感じです。

 

右側の波多江選手の状況ですが、浅場にも関わらず、クロダイの姿は見えず。また、浅場に砂地が広がるこの釣り座は、普段自分がやっているフィールドとはかけ離れているため、掴みどころがない中でのスタートとなりました。マキエは一箇所に留めず、「浅場を回遊するクロダイを拾えれば……」という考えで、できるだけ散らして投入。向かい風の中、遠投する必要があったため、練りエサはエサ持ちがよい硬め(レッド)を中心に使いました。

 

一方、左側に入った村岡選手ですが、20mほど沖にあるブイとその周りに広がるシモリを重点的にねらいます。手前にもコマセを入れますが、本命は沖のブイ周り。1点にポイントを作るようなイメージで絶えずブイ周りにはコマセを投入しました。
底にタッチしたら誘ってみますが、ヒットするのはイソベラ。波多江選手は根掛かりや高切れにより、いまいちリズムに乗り切れていないようです。

 

村岡選手は、時おり鋭いアワセを入れますが、魚が乗りません。そこで、ハリスを短くしてアタリが出やすいようにしました。ウキをしもらせながら探り、ミチイトでアタリを取っていきます。すると、そのねらいが的中し、すぐにサオが曲がりました。前半終了間際、11時18分に均衡を破る1匹が村岡選手のタモに収まったのです。

 

11時半に前半戦が終了し、インターバルを挟まずに釣り座を交代。すぐに後半戦がスタートです。
風向きが変わり、思惑とは裏腹にまたしても向かい風を釣ることになってしまった波多江選手。前情報も持ち合わせおらず、また、村岡選手がどこで釣ったかも分かりませんでしたが、波多江選手もブイとシモリ周りがポイントと判断。そこを重点的にねらいます。上潮が滑り、シモリの上にウキが来たので、根掛かりを回避しようとしたら、なんとクロダイが居喰い。11時55分、波多江さんに待望の1匹。勝負の行方は分からなくなりました。

 

村岡選手は沖の沈み根と藻の間をねらっていきます。1点集中でポイントを作っていきたいところでしたが、エサ取りが多く、広範囲を探っていきます。魚の反応はありますが、どうやらクロダイ以外のようです。

 

波多江選手は1匹釣った後、根の上を通すように釣っていくのがよいと判断。1匹目が釣れたやり方をなぞります。1匹目を釣ってから20分後にも1匹を追加。残り時間15分での逆転です。

 

村岡選手も何回かクロダイのアタリを捉え、鋭いアワセを入れますが乗りません。手に汗握る熱戦が繰り広げられています。ブイ手前のシモリをしつこくねらう波多江選手。なんと終了3分前にダメ押しとなる1匹が掛かります。ホーンが鳴り響く中、タモに収まるという劇的な幕切れとなりました。

 

検量の結果、波多江選手が4,530g、村岡選手が1,543gとなり、波多江選手が見事頂点に上り詰めました。「ジャパンカップはグレも含めて約25年挑戦しています。上位入賞どころか優勝できて感無量です。九州勢初の優勝ということで喜びも一入です」と語る波多江選手でした。