(キス)釣り選手権大会

第39回(2024年度)全国大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ 投(キス)第39回(2024年度)全国大会 大会詳細

終始落ち着いた試合運び
若き実力者・神崎昴志選手が悲願の初優勝!

 


 

1位 神崎 昴志 選手/2位 長澤 昇 選手/3位 金田 剛仁 選手

日時 2025年6月28日(土)、29日(日)
場所 弓ヶ浜(鳥取県)
主催 株式会社シマノ
後援 鳥取県米子市、米子市観光協会、公益財団法人とっとりコンベンションビューロー
天候 晴れ

去る6月28日(土)、29日(日)、鳥取県・弓ヶ浜において「シマノ ジャパンカップ投げ(キス)釣り選手権 第39回全国大会」を開催いたしました。
今大会には、全国各地で行われた地区大会とセミファイナルを勝ち抜いた15名に、昨年度の全国大会で上位入賞した3名のシード選手を加えた総勢18名の選手が参加しました(うち1名欠席)。
一番の注目は、目下3連覇の快進撃を続ける坂手良祐選手。もし坂手選手が優勝すると、ジャパンカップ投げ史上初となる4連覇達成となります。

 

決戦の舞台となるのは、鳥取県の西端に位置する弓ヶ浜。弓ヶ浜は「日本の渚100選」にも選ばれた白砂が美しい海岸で、シロギスの魚影の濃さにおいても全国でも指折りと評される投げ釣りの聖地です。
今期の弓ヶ浜は釣れ始めこそ早かったものの、昨冬の豪雪による雪代の影響が長引いてしまい、大会直近はやや釣果にムラがあるという状況。ピンギスが非常に多いという情報もあり、良型1尾が大きく成績に影響することが予想されました。

 

大会前日に開催された前夜祭では、予選の組み合わせ抽選が行われました。和やかな空気のなか、ブロック割の空欄に選手の名前が入るにつれ、会場内の緊張感が徐々に高まっていきました。

 

今大会はハリ数を10本以内とし(昨年は3本)、より戦略的な幅が広いルールへと変更。勝敗は匹数制限なしの総重量で決定します。数を釣って重量を稼ぐか、良型1本に狙いを定めるか。有利な展開へ持ち込むためには、昨年とはまた違ったアプローチと立ち回り方が要求されます。
 
予選は2日間で計5試合。選手は6名ごとにA・B・Cの3ブロックに分かれて、各ブロック内での順位によって勝ポイントを付与。予選5試合における合計勝ポイントの上位3名が決勝へ進出します。

予選リーグ第一試合(大会1日目)

大会初日は梅雨を感じさせない晴れ。海もナギで、絶好の釣り日和に恵まれました。5時30分に本部のテント前に集合した選手たちは、タックルチェックを済ませた後に各競技ブロックへ移動。6時20分に試合が始まりました。
多くの選手が3色より手前の近距離を手返しよく攻めていきます。朝一番のサラ場ということもあり、1投目から連でシロギスを釣り上げる選手もいましたが、事前の情報どおりシロギスの型が小さく、たまに喰ってくる15〜16cmが大きく見えるほどです。
90分の試合を終え、検量に持ち込まれた釣果を見てみると、18〜20cmクラスの良型が散見されるものの、やはり釣果の大半が8〜10cmのピンギス。
目安として、10cmのシロギスは約8g、20cmは約60g、22cmは約80gの重量があります。22cmは10cmの約10倍の重さ。釣果の総重量で争う競技会において、良型の価値がいかに高いかがわかります。
第一試合では475gのハイスコアを叩き出した金田剛仁選手がトップ。河辺太一選手、坂手良祐選手もブロック1位を獲得して好スタートを切りました。

予選リーグ第二試合(大会1日目)

第二試合は9時にスタートしました。同じエリアで試合を繰り返す競技会では、全エリアが攻められた第二試合以降が本当の勝負だと言われています。そんな定説どおり第二試合ではシロギスの喰いが落ち、シビアな戦いとなりました。
相変わらずポイントは近いものの、喰わせても単発、なかには素バリを引く選手もおり、シロギスの反応が明らかに悪くなっていることが見て取れました。
そのなかで大躍進を遂げたのが、良型狙いに徹してただひとり400g台の釣果を上げた長澤昇選手。最も釣果の落ち込みが大きかったBブロックでは金田選手が坂手選手ら強豪に競り勝ち、昨年3位の神崎昴志選手もブロック1位を獲得して先頭集団に加わりました。

 

クリーンナッププロジェクト
第二試合終了後は、昼食休憩を挟んでクリーンナッププロジェクトを実施。選手、スタッフ全員で海岸の清掃を行いました。

予選リーグ第三試合(大会1日目)

続いて第三試合。ここで風向きが追い風から向かい風に変わりました。弓ヶ浜では向かい風で海面がザワつくと、シロギスの喰いがよくなる傾向があります。
ここで過去に三度の優勝経験を持つ伊藤幸一選手が、415gのシロギスを釣り上げて順位を上げてきました。高本泰樹選手もブロック1位で勝ポイント6を獲得し、猛チャージをかけます。
初日を終えての暫定1位は金田選手(17ポイント)、2位が神崎選手(15ポイント)、3位が高本選手(14ポイント)、4位には高本選手と同ポイントながら釣果占有率によって坂手選手(14ポイント)が入り、5位が伊藤選手(13ポイント)、6位が長澤選手(13ポイント)となりました。
金田選手が頭ひとつ抜けてはいますが、2位以降とは僅差で決してセーフティーリードとはいえません。7位以降も11ポイントで3選手が並んでおり、翌日の第四試合、第五試合で大きく順位が動くことも考えられます。

予選リーグ第四試合(大会2日目)

そして迎えた大会2日目。この日も青空が広がり、弓ヶ浜には朝から夏の強い日差しが照りつけました。
朝一番の好時合に行われた第四試合ですが、期待に反してシロギスの活性は低く厳しい展開になりました。
多くの選手がロースコアにあえぐなか、唯一300g台の釣果でCブロックのトップをもぎ取ったのが水上明選手。Aブロックでは長澤選手が1位を取って決勝進出へ一歩前進、Bブロックでは館野高幸選手が競り勝ってトップ集団の背後をとらえました。
これで勝負の行方がわからなくなりました。選手たちは続く第五試合にすべてを賭けます。

予選リーグ第五試合(大会2日目)

運命の予選リーグ最終となる第五試合が始まりました。Aブロックでは後藤崇選手が驚異の粘りを見せて1位を獲得。初日暫定3位の高本選手と4連覇を狙う坂手選手の進撃に待ったをかけました。
Bブロックでは齋藤広明選手が優勝候補の伊藤選手に競り勝つという大金星。初日暫定1位の金田選手と2位の神崎選手が直接対決したCブロックでは、393gを釣り上げた金田選手が332gの神崎選手を振り切りました。
検量の結果、1位・金田剛仁選手、2位・神埼昂志選手、3位・長澤昇選手の3名が決勝へ進出。5年ぶりの優勝を狙う伊藤選手は4位で一歩届かず。坂手選手は6位となり、4連覇の夢はここでついえました。
予選リーグ1位の金田選手は今回が初出場。第四試合で5位に甘んじたものの、それ以外では近距離を丁寧に攻めて強豪を次々に撃破。1位が3試合、2位が1試合と安定した戦いぶりが目を引きました。
2位の神崎選手は3年連続の全国大会出場、決勝戦は2年連続の進出となります。予選リーグでは第一試合こそ4位と出遅れたものの、シロギスの活性に合わせた繊細なサビキで着実に順位を上げてきました。
3位の長澤選手は71歳の大ベテラン。50年を超える投げ釣り歴で培った釣技は予選リーグでも遺憾なく発揮され、特に超スローなサビキで良型を喰わせる釣技は見る者を唸らせました。
三者三様の決勝進出選手。誰の手が栄冠をつかみ取るのでしょうか。

決勝戦

決勝戦の競技エリアは、海に向かって1ブロック約30mの範囲で左からA・B・Cの3つのブロックに分け、選手は前半戦、中盤戦、後半戦の各ラウンドで、それぞれのブロックをローテーションします。(ローテーションは、A→B→C、B→C→A、C→A→Bの順になります。)

 

競技時間は各ラウンド30分の合計90分。ブロックを移動する際には5分間のインターバルをとります。
 
第1ラウンドのブロックは予選リーグ上位の選手から選択します。1位通過の金田選手が選んだのはセンターのBブロック。2位の神埼選手はAブロック、長澤選手はCブロックにクーラーボックスを置き、試合開始を待ちます。
 
夏の日差しが照りつける弓ヶ浜にホーンが鳴り響き、いよいよ決勝戦第1ラウンドがスタートしました。3選手とも3色付近へ仕掛けを投入。決勝戦エリアは予選で使用しなかったまったくのサラ場です。開始早々から各選手がアタリをとらえました。
第1投から16cmクラスを含む連掛けを見せてくれたのが長澤選手。スローなサビキで良型を絡めて予選リーグを勝ち上がってきた長澤選手は、決勝戦でも良型狙いに徹する様子がうかがえました。
金田選手と神崎選手も負けじと追従。こちらは手返しの早い釣りで数を伸ばします。
 
続く第2ラウンド。サラ場をひととおり攻めた後の攻防になります。ここで徐々に決勝エリアの状況が明らかになってきました。ひとつは、予選ほど良型が混じらないということ。直近の情報では、浜の右へ寄るほどシロギスの型がよく、数も出る傾向があるとのことでした。実際に予選でも、最も右にあたるCブロックで良型がよく釣れました。決勝エリアは、最も左のAブロックとBブロックの間。良型が少ないとなると、長澤選手のスローな釣りは手返し面で不利になります。
ここで勢いに乗ったのが神崎選手でした。「ピンギスと良型の釣り分けが難しいと感じていたので、一発大型というよりも、とにかく数を釣って重量勝負に持ち込みたかった」との言葉どおり、スピードと効率を重視した攻めを展開。3色付近へ仕掛けを投入し、アタリが入るまでは小刻みにテンポよくサビいていきます。アタリがあれば超スローなリールサビキに切り替えて連掛けを狙い、着実に釣果を伸ばしました。
一方、予選をトップ通過した金田選手は「初めてのジャパンカップ決勝ということで緊張してしまい、普段では考えられないミスを連発してしまいました」とのことで、なかなかペースをつかめない様子。まだ予選のような怒濤の連掛けが見られません。
 
最後のブロックローテーションが終わり、いよいよ第3ラウンドの開始です。ここで神崎選手が勝負に出ました。開始早々に5色付近へ仕掛けを遠投。これまで長澤選手と金田選手が攻め尽くした近場を避け、ほぼ手つかずの沖を探って釣果を重ねます。
良型狙いという自身の釣りを貫き通す長澤選手も、メンタルを立て直して本来の釣りを取り戻した金田選手も最後まで食い下がりましたが、神崎選手の勢いを止めることはできませんでした。

 

検量の結果、426gを釣り上げた神崎選手が優勝。2位に299gで長澤選手、3位に281gで金田選手が入賞しました。
「シロギス自体はまんべんなくいるのですが、一度仕掛けを通したポイントは明らかに反応が悪くなることがわかっていました。投入ごとに少しずつポイントをずらしたのがよかったのだと思います」
昨年は3位に入賞し、大会前には「今年は是が非でも頂点をつかみたい」と語っていた神崎選手が、悲願の初優勝を飾りました。