(グレ)釣り選手権大会

全国大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ 磯(グレ)全国大会 大会詳細
 


 

1位 友松 信彦 選手/2位 谷本 鋼紀 選手/3位 幸喜 一樹 選手

日時 2022年11月19日(土)、20日(日)
場所 五島列島 福江島 福江地区の磯(長崎県五島市)
主催 株式会社シマノ
後援 長崎県五島市、一般社団法人五島市観光協会
天候 曇りのち晴れ

去る2022年11月19日(土)~20日(日)「2022シマノ ジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権 全国大会」を五島列島・福江島・福江地区の磯(長崎県五島市)にて開催いたしました。磯釣りファン憧れの地ですが、今年はNHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』の舞台になっていることから、一般観光客からも熱視線が注がれています。

 

今年の五島は例年より水温が低めに推移。シーズン的には少し進んでいる印象です。早くも良型が出ており、火曜日からプラで入った選手は連日のように50㎝オーバーを釣っているとの話も入ってきました。
また、今年はグレの当たり年のようで、群れの接岸も早いとのこと。コロナ渦により、釣り場が温存された影響も大きそうです。
例年と比較して、今年の五島は釣れるタナが浅めとのこと。普段なら、良型のクチブトを釣るには沖の深ダナ(8mライン)をねらう必要がありますが、今年は同じ沖でも5〜6mライン、深くても7mとのことです。

 

さて、競技ですが、例年と同様A(せいわ)、B(むさし)、C(増栄丸)の3つの渡船を使用し、船ごとに8選手がマンツーマンで勝負。
SDGsの観点から魚への負担を減らす取り組みの一環で、今年は5匹のバッグリミット制を導入。競技終了後に選定の時間はなく、6匹目が釣れた時点で、入れ替えを義務付けるルールです。

予選4試合を行ない、決勝進出者は上位2名のみ。競技時間は100分とし50分で前半と後半の合間に5分のインターバルを設けて釣り座を交換。勝ちポイントは3点、引き分け1点、負け0点。勝ポイントを競うのはもちろん、合計勝ポイントが同点の場合は重量差で順位を決定。よって大型の魚を、短時間により多く揃えることで重量の差が開き順位を上げることができます。

第1試合

7時に第1試合がスタート。注目選手はやはり2連覇、4度頂点に立っている友松信彦選手。対戦相手はセミファイナル九州大会を勝ち上がってきた森雄司選手です。戦いの舞台は平瀬の地の横。
イサキの猛攻に遭い、グレがなかなか出ません。仕掛けを入れすぎるとイサキ、その上を釣る必要があります。試行錯誤の末、2ヒロ〜サオ1本のタナ、かつ沖の手前の潮目がねらい所と判断した友松選手。友松選手が5574gというハイウエイトを叩き出し、重量差2011gで勝利。前々大会からの連勝記録を13に伸ばします。

 

前回大会2位で全国大会常連の幸喜一樹選手と今回が全国初出場の小堀敬太選手との若手対決も注目です。開始早々、40㎝オーバーを釣り、先手必勝で逃げ切った幸喜選手に軍配が上がりました。前回大会3位の上田泰大選手は観音小島で五郎丸貴浩選手との接戦の末、重量差118gで落としてしまい、出遅れます。

 

友松選手の重量差約2000gを除き、ほとんどの戦いが数十グラムから、大きくて800gほどの差。1尾入れ替えられるかどうかで勝敗が分かれたようです。

第2試合

第2試合は10時20分スタート。陽もすっかり昇り、エサ取りの活性もだいぶ上がってきました。
第1試合を白星で飾った幸喜選手が上がった平瀬の地では、ボラが好活性。そして、少しでも仕掛けを深いところに入れると今度はイサキが勢いよく喰ってきます。ウキを見ながら、仕掛けは深く入れずに張り気味に探り、この状況を打開。波多江義孝選手を破り、幸喜選手は白星を重ねます。

 

この試合で3054gという今大会一番の重量差で勝った小堀選手。その一方、上田選手は9g差、友松選手は180g差で勝利し、次へ繋げました。
この2人の勝因は、入れ替え時の魚の選定にもあったと思います。迅速かつ正確な魚の入れ替えも、勝敗を分ける要因となっていることを物語った試合となりました。

 

第2試合を終えて、暫定順位は1位 嶽本勝一選手、2位 友松選手、3位 幸喜選手、4位 谷本鋼紀選手、4位 祖母井隆二選手、5位 五郎丸選手。この5名の選手が連勝で、重量差でこの順位になりました。嶽本選手は第2試合、小島の東での古閑友貴選手との一戦で、重量差2094gで勝ちました。これがトップへ躍り出た大きな要因です。

第3試合

初日最後の第3試合終了後の暫定結果は、1位が谷本選手、2位が友松選手、3位が祖母井選手。この3名が9ポイント獲得し、いまだ負けなしです。4位に7ポイントの田代真也選手、同じ6ポイントですが、重量差で5位に嶽本選手、6位に小堀選手と続きます。

 

暫定トップの谷本選手は今回が全国初出場。第3試合では多々良の赤灯台でセミファイナル関西大会1位通過の谷口良弘選手と激突。どこへ投げてもコッパオナガが喰ってきて、いかに避けるがキーとなりました。
ポイントをローテーションしながら、コッパを避けてクチブト4尾、オナガ1尾で検量へ。「勝敗は微妙だった」と谷本さんは振り返ります。


ですが、谷口さんがまさかの6尾持ち込みという痛恨のミス。ペナルティーもあり、この戦いの重量差は1052gと大きなものとなりました。

第4試合

朝焼けが五島の海を染め、決勝戦が控える最終日に相応しい空模様です。
8時50分、第4試合がスタート。全勝中の暫定1位の谷本選手は平瀬の地の横で髙橋鯛企選手と勝負です。
仕掛けを回収してもエサが残り、魚の活性は低い。ポツリ、ポツリと釣れ、終了の時刻が迫ってもまだリミットの5尾には届かず。「残り5分です」という審判のアナウンスの後、谷本選手は沖の潮がわずかに緩んだの見逃さず、そこへ仕掛けを投入。すると5尾目がサオを曲げ、なんとか規程尾数を揃えることに成功。髙橋選手は5尾に届かず、4尾。検量の結果、406g差で谷本選手が勝利しました。

 

全勝中で暫定2位の友松選手は赤崎鼻で肥田哲也選手と対戦。先端の本流を釣る形となった友松選手はコッパオナガに悩まされる一方、ワンド側に入った肥田選手は開始早々タモ入れサイズを釣り、幸先いいスタートです。さらにその少し後には大型を掛けましたが、タモ入れ直前で痛恨のバラシ。肥田選手がやや優勢に見えましたが、終了間際、友松選手にも良型が掛かり、ほぼ互角の勝負です。
後半戦になると、肥田選手が入った先端は本流の流れが強く、なかなか仕掛けが入りません。掛かってもコッパオナガと苦戦します。
友松選手のワンド側の釣り座も、本流からの引かれ潮の影響を強く受け、潮が上滑り気味。すぐに境界近くまで仕掛けが流されてしまいます。そこで3Bのウキに変更。半誘導にし、仕掛けをしっかり立てて探って行くと、ウキがきれいに消し込み、良型クチブトのタモ入れに成功。これが決め手となり、友松選手の勝利となりました。
小島の東では全勝中の祖母井選手とセミファイナル九州大会を勝ち上がった渡嘉敷大輔選手が熱い火花を散らしました。結果は渡嘉敷選手の勝利。重量差も1201gと大きく、順位に影響してきそうです。

 

2日目の第4試合を終えて、決勝進出を決めたのは、予選第1位谷本選手、予選第2位友松選手の2名となりました。2人とも全勝で勝ちポイントは12。谷本選手が合計重量差3345gで、友松選手が2924gとなりました。

決勝戦

決勝の舞台はサザエ島の平瀬。予選1位通過の谷本選手にエリア選択の優先権があります。海に向かって右の釣り座を選択し、友松選手が左の釣り座に入りました。
右から左沖に向かって本流が走り、それに引かれるように左から潮が流れ、境界線付近でこの潮がぶつかります。潮時ではもう上げ潮の時間帯ですが、数時間ズレがあるため、まだ下げ潮が利いています。谷本選手は、上げ潮の流れが強くなる前に先端を釣っておきたいという思惑で右の釣り座を選びました。

 

12時35分、ホーンの合図とともに決勝戦がスタート。
開始早々、谷本選手がタモ入れサイズをキャッチ。初めて乗る磯。最初から沖というよりは近距離のいい潮を釣って様子見です。仕掛けトラブルを直すため、視線を海から切ったちょうどその時、高い波が押し寄せてバッカンが潮を被るというトラブルに見舞われました。リズムを崩してしまう谷本選手。
表層の流れが速い二枚潮でしたが、コマセを手前に撒き、下潮に乗った仕掛けにうまく同調させていく友松選手。潮の角度が刻々と変わる状況に対して、1投ごとに微調整しながら仕掛けが馴染む潮を探していきます。友松選手が続け様に良型を2尾キャッチ。40㎝オーバーはありそうです。
谷本選手もタモ入れサイズを追加しましたが、沈黙の時間が長く、その間、友松選手が着実に釣果を重ねます。友松選手は規定の5尾を揃える一方、谷本選手は2尾と少し出遅れてしまいました。友松選手の優勢で前半戦を折り返します。

 

5分間のエリア交代を挟み、後半戦がスタート。
両者決定的な1尾が出ないまま、時間がすぎていきます。しばらくすると、上げ潮が利きはじめ、右からの本流の勢力が強くなってきました。すると境界線付近にできていた潮目は左側にずれます。
その頃から谷本選手にバタバタと良型が掛かり始めました。谷本選手は、前半戦で使用していた2Bのウキから00に変更。深いタナを探るイメージですが、ラインを張りながら、ブレーキを掛け、グレがいるであろう層をキープしながら釣っていきます。怒涛の追い上げをみせ、クチブトの40㎝オーバーを含む良型を複数釣り、規定の5尾を揃えました。両者一歩も譲らない戦いが続きます。

 

試合が大きく動いたのが、後半終了の20分前。友松選手のサオが大きな弧を描きました。
最初は浮力000で流していましたが、仕掛けが入りすぎる。そこで浮力を少し上げて、ウキをホバリングさせつつ、ジンタン6号を2段打ちし、ウキから下はしっかり馴染ませる釣り方に変更。どの潮なら仕掛けが入るか。1投ずつ微調整しながら探っていたところ、ドスンと来たのは大型のクチブトでした。
ギャラリーからは大きな拍手とともに「50オーバーはありそう」と声が飛び交います。両者最後まで全力で戦い、ホーンの合図とともに試合終了です。

 

検量の結果は友松選手6,504g、谷本選手4,158gで友松選手が5度目の優勝で3連覇達成。前々大会、前回大会に続く負けなしの完全勝利であることから17連勝。圧倒的な強さを見せての優勝でした。