へら釣り選手権大会

第40回(2025年度)全国大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ へら
第40回(2025年度)全国大会 大会詳細

連覇! 楠 康一選手、威風堂々、圧巻の浅ダナセット釣り
再び表彰台の頂点へ、悠然と君臨

 


 

1位 楠 康一選手/2位 櫻井 和弘選手/3位 石倉 義久選手

日時 2026年5月30日(土)・31日(日)
場所 筑波流源湖(茨城県)
主催 株式会社シマノ
天候 晴れ

2026年5月29日(金)~31日(日)、茨城県の管理釣り場「筑波流源湖」で、第40回シマノジャパンカップへら釣り選手権・全国大会が開催されました。


 今大会は、2025年4月12日(土)の甲南へらの池大会(約120名から5名が進出)から開幕し、5月17日(土)の武蔵の池大会(約140名から5名が進出)、9月6日(土)の清遊湖大会(約200名から8名が進出)、9月20日(土)のつり処椎の木湖大会(約200名から7名が進出)までの各大会における上位入賞者計25名と、2024年度全国大会の優勝~第3位までのシード選手3名による合計28名が全国大会へ進出しました。へらぶな全国大会制覇を目指し、日頃鍛えた釣技をぶつけ合う熱戦が繰り広げられました。


 その結果、前年度に続いて楠 康一選手が優勝し、史上4人目となる連覇を達成しました。とくに最終日の決勝戦では雄渾な釣り姿を見せ、終盤に大きくリードを広げて、その実力を改めて示しました。

 

 

白熱した戦いを繰り広げた28名

 

 

 

紫峰・筑波嶺の麓で、へらぶな釣りの王座を争う常陸国に、

シマノへら竿を手にした猛者が集いました

 

― 競技会場「筑波流源湖」―

 

筑波流源湖は、昭和56年11月22日、水域面積5万5千平方メートル、最深部は10m近い砂利採取跡の池にへらぶなを放ち、舟80隻、桟橋10カ所を設置して営業を開始しました。かつてロープを張って平成4年まで舟釣りが行われていた最深部近隣の桟橋が、今回の競技会場「北桟橋」です。釣り場の水質はきわめて良好で、各所の曝気と取水に加え、豊富な湧き水にも恵まれています。四季を通じてへらぶなの就餌状態は良く、水面のウキから視線を上げると、はるか東方に「紫峰(しほう)」の雅称をもつ筑波山を望める景観も大きな魅力です。


釣果は釣り方を問わず安定しており、良型を主体とした充実の放流量によって、規定内でさまざまなタナの釣りが楽しめる環境が常に整っています(事務所前にタナ自由エリアがあります)。とくに、深場を生かした長ザオによるチョウチン釣りは、同釣り場を象徴する魅力のひとつです。


例会会場としても人気が高く、そのため休日は混雑することも多いものの、釣り座の間隔は広く、喰い渋りにも強い管理釣り場として評判を集めています。


ちなみに本大会では、サオの長さを7~24尺とし、チョウチンは穂先から使用ウキ1本以上分の間隔を空け、全長が60cmを超えるウキの使用を禁止しています。さらに、サオ尻から下バリまでは60cm以内にするなどの大会規定(ガイドブック記載条項)を遵守することを前提に、タナは第1オモリからウキ止めまで1m以上(レポート内では1mのタナを浅ダナと表記)、スレ取り禁止といった同池の規定にも準じ、全選手がモラルとスポーツマンシップに則って参加しました。

 

 

 

釣り方の選択が、勝負を分ける

 

競技桟橋の「北桟橋」は最深部を控えていますが、五葉松桟橋方向へ向かうにつれて水深は浅くなります。それでも桟橋周辺の水深変化は大きくなく、どちらを向いても大差はありません。大会本番前の試釣でも、サオを出す向きを問わず、ホタチョウと呼ばれるチョウチンの固形セット釣り、タナ1mの浅ダナ両ダンゴが好調で、本命視されていました。それだけに「あとは当日に出すサオの長さを考えるだけです」と自信をのぞかせる選手の姿も見られました。

 

 5月29日(金)、栃木県小山市のエヴァウイン小山プレミアムスィーツで前夜祭が開催され、競技説明後に座席抽選会が行われました。


そして翌30日(土)、7:00のタックルチェックを経て、7:20から10:20までの3時間で予選リーグ第1試合が行われました。梅雨前にもかかわらず気温30度を超える晴天となり、運営側は熱中症対策として塩分タブレットと、清涼飲料水・経口補水液を用意しました。選手たちも各自で強い日差しへの備えを整え、桟橋の両側には日除けパラソルの花が咲きました。


水況については、平水位より1.3mの増水位という公式発表でしたが、数日前はそれを上回る高水位で、一部の渡り桟橋が水没するほどでした。つまり短時間で急激な減水が進んだことになります。取水時に図らずも水温の低い水が流入したこと、排水による水位変化が当日の釣況に少なからず影響を及ぼしたことは否めません。さらに営業時間は5:30からで、高人気な釣り場ゆえ通常なら営業開始早々から多投される環境ですが、いつもなら真っ先に埋まる好ポイントが7:20まで無投だったことも、魚の警戒心に影響した可能性があります。選手たちは「試釣どおりにはいかない」ことを織り込み済みで、エサを打ちながら「そうきたか…」という表情で首をかしげる姿が随所で見られました。

 

 

釣り場の東方にそびえる筑波山

 

2日目は、まるで神々が降臨するかのような幻想的な雰囲気に包まれた

 

筑波山

 

 

第1試合

■ Aブロック(南中央桟橋向き 手前)

 

・ 伊藤 正弘 選手(甲南へらの池1位)普天元獅子吼9浅ダナ両ダンゴ
・ 新倉 正幸 選手(清遊湖4位)飛天弓皆空9浅ダナセット
・ 濱嶋 勇 選手(清遊湖5位)飛天弓閃光LⅡ8浅ダナセット
・ 𠮷田 康雄 選手(武蔵の池4位)飛天弓皆空8~10チョウチンセット
・ 福田 直忠 選手(椎の木湖2位)飛天弓皆空8チョウチンセット
・ 小笠 一也 選手(清遊湖7位)普天元独歩9浅ダナセット

 

 通常営業でも8時過ぎに喰いが立つといわれるスロースタート傾向の釣り場だけに、サオが立つまでには多少の時間を要しました。


釣り方別に見ると、1メーターセットが3名、チョウチンセットが2名、1メーター両ダンゴが1名という内訳でした。浅ダナも深宙も、水面に魚が見えるほど寄ってから釣れ出すようで、競技開始から1時間30分が過ぎると、10枚超えを目安としたフラシ交換が始まりました。


その結果、Aブロックは福田選手が22.00kgで1位、濱嶋選手が19.04kgで2位、伊藤選手が14.24kgで3位となりました。

 

 

釣れ出すまで、エサを打ち続ける選手たち

 

 

■ Bブロック(南中央桟橋向き 奥)


・ 堀口 伸二 選手(清遊湖8位)飛天弓皆空9チョウチンセット
・ 田中 豊 選手(椎の木湖1位)飛天弓閃光XX8浅ダナ両ダンゴ
・ 寺田 博 選手(椎の木湖6位)特作色華8浅ダナセット
・ 河野 公彦 選手(武蔵の池5位)飛天弓閃光LⅡ9浅ダナセット
・ 佐藤 勝 選手(甲南へらの池3位)飛天弓閃光LⅡ8浅ダナセット
・ 百合草 大貴 選手(椎の木湖4位)飛天弓皆空8~10チョウチンセット

 

Aブロックと同じく、1メーターセットが3名、チョウチンセットが2名、1メーター両ダンゴが1名という構成でした。試釣でも好調だったホタチョウの選手がここでもサオを曲げ、Bブロックは百合草選手が15.32kgで1位、佐藤選手が14.51kgで2位、河野選手が11.75kgで3位となりました。

 

 

日傘として桟橋の両側とも、パラソルの花が咲いていた。

 

 

■ Cブロック(五葉松桟橋向き 手前)


・ 伊藤 京子 選手(椎の木湖7位)朱紋峰鉾9チョウチンセット
・ 小寺 則之 選手(甲南へらの池2位)飛天弓皆空9チョウチンセット
・ 石倉 義久 選手(清遊湖3位)普天元獅子吼8浅ダナセット
・ 石原 弘三 選手(甲南へらの池4位)普天元獅子吼7浅ダナセット
・ 弘澤 文昭 選手(武蔵の池2位)特作色華9浅ダナセット

 

Cブロックは1メーターセットが3名、チョウチンセットが2名でした。注目の伊藤 京子選手はもっとも手前の釣り座で何度も愛竿を絞り、同釣り座に確かな手応えをつかんでいるようでした。
 Cブロックは伊藤 京子選手が18.97kgで1位、石倉選手が18.64kgで2位、小寺選手が14.38kgで3位となりました。

 

 

第1試合のCブロックは、伊藤京子選手が躍進した

 

 

■ Dブロック(五葉松桟橋向き 中央)


・ 楠 康一 選手(シード1位)飛天弓皆空8浅ダナセット
・ 西沢 良純 選手(シード3位)飛天弓皆空9浅ダナセット
・ 山本 敏之 選手(清遊湖6位)普天元独歩8浅ダナセット
・ 岡田 清 選手(椎の木湖5位)朱紋峰鉾8チョウチンセット
・ 櫻井 和弘 選手(武蔵の池1位)飛天弓皆空7チョウチンセット

 

Dブロックも1メーターセットが3名、チョウチンセットが2名でした。櫻井選手は、バラケエサを持たせて「タナ抜き」したあと、喰わせエサが倒れ込むタイミングと、そこからトップストローク分1回だけ誘うという2点を丁寧に狙います。アタらなければ潔くサオを上げる手返しで、エサ打ち量に比例するように枚数を伸ばしました。ほかのブロックで両ダンゴの選手が活躍していた流れもあり、櫻井選手は麸エサの量を増やしたことが奏功したようです。エサを手直ししたのち、終了までの15分で5枚を追加し、1位に立ちました。


 その結果、Dブロックは櫻井選手が17.41kgで1位、楠選手が15.46kgで2位、岡田選手が12.60kgで3位となりました。

 

 

独自の理論を確立して、繊細なチョウチンセットで釣る櫻井選手 

 

 

■ Eブロック(五葉松桟橋向き 奥)


・ 佐賀 真一 選手(椎の木湖3位)朱紋峰煉8チョウチン両ダンゴ
・ 源 弘次 選手(甲南へらの池5位)特作色華9浅ダナセット
・ 山村 慎一 選手(清遊湖2位)景仙総塗り9チョウチンセット
・ 戸井田 祐一 選手(武蔵の池3位)飛天弓皆空10浅ダナ両ダンゴ
・ 天田 浩司 選手(シード2位)飛天弓閃光LⅡ12浅ダナ両ダンゴ
・ 時田 光章 選手(清遊湖1位)飛天弓皆空9浅ダナ両ダンゴ

 

 Eブロックは1メーターセットが1名、1メーター両ダンゴが3名、チョウチンセットが1名、チョウチン両ダンゴが1名という構成でした。


 最奥に共エサが並ぶ珍しいブロックとなり、共エサのエサ打ち量と、岸や桟橋などの障害物による魚礁効果もあって、開始早々からジャミの猛攻に遭いました。小魚を何尾も釣り上げる場面が続きましたが、これを嫌い過ぎてはいけないようです。実際、小魚を多く釣っていた選手ほど先にへらぶなを手にしていました。自然界では、エサに魚が寄る行動にも順番があります。まず、好奇心旺盛な小魚が着水音やエサの広がり、臭気で先に集まり、そのあと大型魚が差してくる。大型魚が入れば小魚は姿を消しますが、いなくなると再び小魚が集まる――そんな循環が見て取れました。小魚が騒ぎ始めることで、へらぶなの魚群が後を追うように集まってくる様子もうかがえました。へらぶなは小魚より警戒心が強く、簡単には喰わないことも、あとから寄ってくる特徴につながっているのかもしれません。


 Eブロックは戸井田選手が18.36kgで1位、佐賀選手が17.91kgで2位、時田選手が17.19kgで3位となりました。

 

 検量後、選手たちは第2試合の釣り座へ道具を移し、10:35から昼食、11:20にタックルチェック、11:50から14:50までの3時間で第2試合に臨みました。

 

 

第1試合は無風の鏡面状態でした。


 

 

第2試合

■ Aブロック(南中央桟橋向き 手前)

 

・ 堀口 伸二 選手(清遊湖8位)飛天弓皆空7チョウチンセット
・ 小寺 則之 選手(甲南へらの池2位)飛天弓皆空9チョウチンセット
・ 山本 敏之 選手(清遊湖6位)飛天弓皆空8チョウチンセット
・ 岡田 清 選手(椎の木湖5位)朱紋峰鉾7チョウチンセット
・ 佐藤 勝 選手(甲南へらの池3位)普天元獅子吼7浅ダナセット
・ 櫻井 和弘 選手(武蔵の池1位)朱紋峰神威7チョウチンセット

 

第1試合を戦い、思った以上に魚が手強いことを理解した選手たちは、丁寧かつ繊細なテクニックで釣り始めました。たしかに麸エサに対する魚の反応は良いものの、それがそのまま両ダンゴの釣りには結びつきません。そうこうしているうちに、午後は強い向かい風となりました。振り込みもままならず、サオは短く、タナはほとんどの選手がチョウチンへ移行します。流される前に次投を、という意識もあってか手返しは早く、結果としてエサ打ち回数も増えていたように見えました。Aブロックは櫻井選手が15.98kgで1位、唯一の浅ダナセットだった佐藤選手が15.01kgで2位、岡田選手が12.37kgで3位となりました。

 

 

第2試合は強風に苦戦するブロックも

 

 

■ Bブロック(南中央桟橋向き 奥)

 

・ 西沢 良純 選手(シード3位)飛天弓閃光LⅡ8浅ダナセット
・ 佐賀 真一 選手(椎の木湖3位)朱紋峰煉8チョウチンセット
・ 新倉 正幸 選手(清遊湖4位)飛天弓皆空9浅ダナセット
・ 楠 康一 選手(シード1位)飛天弓皆空8浅ダナセット
・ 源 弘次 選手(甲南へらの池5位) 特作色華9浅ダナセット
・ 山村 慎一 選手(清遊湖2位)朱紋峰煉8チョウチンセット

 

Bブロックは1メーターセットが4名、チョウチンセットが2名となりました。Aブロックと同じ並びでありながら、風上側に桟橋があって波除け効果が働いたことも一因でしょう。高校生時代に「カットビ君」と呼ばれ、さまざまな釣り場の月例大会を渡り歩く月刊誌連載企画で活躍していた西沢選手は、こうした逆境にも強さを見せます。前回大会の第3位を上回る成績を目指し、前回王者の楠選手や優勝経験豊富な山村選手たちと真っ向からぶつかり、向かい風をものともせず釣り切りました。結果は西沢選手が21.28kgで1位、楠選手が16.87kgで2位、山村選手が16.36kgで3位となりました。

 

 

■ Cブロック(五葉松桟橋向き 手前)


・ 田中 豊 選手(椎の木湖1位)飛天弓閃光XX8浅ダナ両ダンゴ
・ 濱嶋 勇 選手(清遊湖5位)普天元獅子吼7浅ダナセット
・ 戸井田 祐一 選手(武蔵の池3位)普天元独歩9浅ダナセット
・ 寺田 博 選手(椎の木湖6位)普天元独歩7浅ダナセット
・ 福田 直忠 選手(椎の木湖2位)飛天弓皆空8チョウチンセット

 

風を背負うCブロックは、1メーター両ダンゴが1名、1メーターセットが3名、チョウチンセットが1名という構成でした。福田選手はチョウチンセットで戦う準備を整えてきており、環境が変わっても釣り方がブレません。しかし強い日差しで水温が上がりやすい浅ダナへ魚が浮いたのか、浅ダナの反応が急上昇しました。ここで一気に釣り込んだのが濱嶋選手です。結果は濱嶋選手が22.50kgで1位、福田選手が19.53kgで2位、両ダンゴで攻めた田中選手が16.26kgで3位となりました。

 

 

追い風を味方に釣り込む

 

 

■ Dブロック(五葉松桟橋向き 中央)


・ 𠮷田 康雄 選手(武蔵の池4位)飛天弓皆空8~10チョウチンセット
・ 天田 浩司 選手(シード2位)朱紋峰嵐月9浅ダナセット
・ 伊藤 京子 選手(椎の木湖7位)朱紋峰鉾9チョウチンセット
・ 時田 光章 選手(清遊湖1位)飛天弓皆空9浅ダナ両ダンゴ
・ 小笠 一也 選手(清遊湖7位)普天元独歩9浅ダナセット

 

Dブロックは、1メーター両ダンゴが1名、1メーターセットが2名、チョウチンセットが2名でした。時田選手は麸エサに高反応を示す魚を信じて両ダンゴを打ち続けますが、なかなか思うような展開にはなりません。伊藤 京子選手は、2度の優勝経験を持つ𠮷田選手にたびたびプレッシャーをかける好釣を見せ、競技後には𠮷田選手が思わずため息を漏らすほどでした。天田選手は朱紋峰嵐月を勝負ザオとして愛用し、風にも負けず浅ダナで振り切り、喰わせれば筑波流源湖の大型をおとなしくさせて取り込むというパワフルなサオ使いが光りました。結果は天田選手が19.01kgで1位、𠮷田選手が16.55kgで2位、伊藤 京子選手が16.35kgで3位となりました。

 

 

朱紋峰鉾でチョウチンセットを決める伊藤京子選手

 

 

■ Eブロック(五葉松桟橋向き 奥)


・ 弘澤 文昭 選手(武蔵の池2位)特作色華9浅ダナ両ダンゴ
・ 伊藤 正弘 選手(甲南へらの池1位)飛天弓閃光LⅡ9浅ダナ両ダンゴ
・ 河野 公彦 選手(武蔵の池5位)飛天弓閃光LⅡ8浅ダナセット
・ 石原 弘三 選手(甲南へらの池4位)普天元獅子吼7浅ダナセット
・ 百合草 大貴 選手(椎の木湖4位)飛天弓皆空8チョウチンセット
・ 石倉 義久 選手(清遊湖3位)普天元独歩8浅ダナセット

 

Eブロックは、1メーター両ダンゴが2名、1メーターセットが3名、チョウチンセットが1名でした。この釣り座位置では両ダンゴを狙う選手が多く見られますが、通常営業時とは様子が異なったのか、思うようには釣果が伸びません。結果は石倉選手が17.74kgで1位、石原選手が12.68kgで2位、百合草選手が12.25kgで3位となりました。

 

 18:00から、選手宿泊先の小山グランドホテル「華厳の間」で懇親会が開催されました。催事中に暫定成績が発表され、下位から順に1名ずつ壇上へ上がり、初日を振り返りながら翌日への抱負を述べました。早い段階で壇上に上がった選手からは反省の言葉が、後半に呼ばれた選手からは前向きな抱負が語られ、会場の空気も徐々に熱を帯びていきました。

 

 

第3試合(大会2日目)

第3試合は、7:00から10:00までの3時間勝負となりました。全選手とも、3桁規模の参加者が集う大会を勝ち進んできた代表選手としての矜持があり、最後まで全力で戦い抜く気持ちを持っています。過去には、初日の成績を見た選手が「爪痕を残す」と捨て身の攻めに出て、第3試合で一気に釣り込んだ例もありました。そのあおりを受け、前日上位の選手が決勝進出を逃す場面も少なくありません。懇親会で上位者として呼ばれたからといって、決して油断はできません。

 

 

■ Aブロック(南中央桟橋向き 手前)


・ 石原 弘三 選手(甲南へらの池4位)普天元獅子吼8浅ダナセット
・ 田中 豊 選手(椎の木湖1位)飛天弓閃光XX8浅ダナ両ダンゴ
・ 弘澤 文昭 選手(武蔵の池2位)普天元獅子吼9チョウチンセット
・ 戸井田 祐一 選手(武蔵の池3位)特作色華10浅ダナセット
・ 源 弘次 選手(甲南へらの池5位)特作色華9浅ダナセット
・ 百合草 大貴 選手(椎の木湖4位)飛天弓皆空12チョウチンセット

 

Aブロックは、1メーター両ダンゴが1名、1メーターセットが4名、チョウチンセットが1名でした。日曜日ともなれば、競技開始時には人気桟橋が満員に近い状態となり、周囲では盛んにエサが打たれていました。前日同様に「モーニング小魚」の時間を経て、次第にへらぶなが釣れ始めます。前日の状況から、麸エサに対するへらぶなの反応は良いことがわかっていました。しかし、ウキの動きを早く出すのは顆粒ペレット(以下「粒」)入りのバラケエサであり、それは小魚にとって刺激の強い素材でもあります。小魚のアタリを恐れず粒を入れるか、麸エサ主体のブレンドを打つか。選択はそれぞれの釣り人のスタイルに委ねられました。結果は弘澤選手が20.85kgで1位、百合草選手が20.24kgで2位、石原選手が18.04kgで3位となりました。

 

 

■ Bブロック(南中央桟橋向き 奥)


・ 小寺 則之 選手(甲南へらの池2位)飛天弓皆空9~10チョウチンセット
・ 時田 光章 選手(清遊湖1位)朱紋峰煉10.5浅ダナ両ダンゴ
・ 伊藤 京子 選手(椎の木湖7位)飛天弓閃光LⅡ10.5チョウチンセット
・ 山本 敏之 選手(清遊湖6位)普天元独歩8浅ダナセット
・ 伊藤 正弘 選手(甲南へらの池1位)特作色華10浅ダナセット
・ 天田 浩司 選手(シード2位)朱紋峰嵐月10.5浅ダナセット

 

Bブロックは1メーター両ダンゴが1名、1メーターセットが4名、チョウチンセットが1名でした。伊藤 京子選手はサオを長くしてもその強さに陰りがありません。何度も飛天弓閃光LIIを弧に描き、Bブロックでは主導権を握り続けました。結果は伊藤 京子選手が24.81kgで1位、伊藤 正弘選手が17.84kgで2位、小寺選手が17.82kgで3位となりました。

 

 

第3試合におけるBブロックの様子

 

 

■ Cブロック(五葉松桟橋向き 手前


・ 佐賀 真一 選手(椎の木湖3位)朱紋峰煉9チョウチンセット
・ 河野 公彦 選手(武蔵の池5位)飛天弓皆空7と飛天弓閃光LⅡ8浅ダナセット
・ 櫻井 和弘 選手(武蔵の池1位)飛天弓皆空9チョウチンセット
・ 小笠 一也 選手(清遊湖7位)普天元独歩9浅ダナセット
・ 西沢 良純 選手(シード3位)飛天弓閃光LⅡ8浅ダナセット

 

Cブロックは1メーターセットが3名、チョウチンセットが2名でした。佐賀選手と西沢選手が早々にフラシを交換して激しく競り合う中、櫻井選手は3位のポイントでも決勝へ進めることをきちんと計算し、ペースを崩さず自分のスタイルを堅持しました。5人ブロックの中で2人がフラシ交換に至っていない状況を見極め、必要な釣果を着実に積み上げたかたちです。結果は佐賀選手が22.15kgで1位、西沢選手が22.00kgで2位、櫻井選手が15.17kgで3位となりました。

 

 

■ Dブロック(五葉松桟橋向き 中央)


・ 新倉 正幸 選手(清遊湖4位)飛天弓皆空8浅ダナセット
・ 山村 慎一 選手(清遊湖2位)朱紋峰神威9浅ダナセット
・ 佐藤 勝 選手(甲南へらの池3位)飛天弓閃光LⅡ8浅ダナセット
・ 石倉 義久 選手(清遊湖3位)普天元獅子吼8浅ダナセット
・ 堀口 伸二 選手(清遊湖8位)飛天弓皆空10チョウチンセット

 

Dブロックは1メーターセットが4名、チョウチンセットが1名でした。優勝経験豊富な山村選手、名セットマンとして知られる佐藤 勝選手、そして「石倉セット」の代名詞ともいえる石倉選手など、へらぶなトーナメント界を代表するセット巧者が顔をそろえたブロックでした。結果は山村選手が18.56kgで1位、石倉選手が16.62kgで2位、堀口選手が15.54kgで3位となりました。

 

 

■ Eブロック(五葉松桟橋向き 奥)


・ 濱嶋 勇 選手(清遊湖5位)飛天弓閃光LⅡ8と普天元獅子吼7浅ダナ両ダンゴ
・ 𠮷田 康雄 選手(武蔵の池4位)飛天弓皆空11チョウチンセット
・ 福田 直忠 選手(椎の木湖2位)普天元獅子吼10チョウチンセット
・ 楠 康一 選手(シード1位)飛天弓皆空8浅ダナセット
・ 寺田 博 選手(椎の木湖6位)特作色華8浅ダナセット
・ 岡田 清 選手(椎の木湖5位)飛天弓皆空8チョウチンセット

 

 Eブロックは1メーター両ダンゴが1名、1メーターセットが2名、チョウチンセットが3名でした。この釣り座位置は、両ダンゴで大きく勝負をかける選手が現れやすいエリアです。挑戦的な選択だけに、外したときのリスクも大きい。そのブロックに、シマノジャパンカップへら釣り選手権大会の優勝経験者が3人集まりました。白熱した勝負の末、福田選手が30.19kgで1位、楠選手が25.88kgで2位、𠮷田選手が22.92kgで3位となりました。

 

 

決勝トーナメント

 10:15に昼食となり、その間に成績が集計され、事務所前でMCの荒井沙織さんから決勝戦へ進出する上位6名の選手が発表されました。結果は以下のとおりです。


1位 福田 直忠選手、2位 石倉 義久選手、3位 伊藤 京子選手、4位 櫻井 和弘選手、5位 楠 康一選手、6位 百合草 大貴選手。

 

 

 

 

 


決勝戦へ進出した6人

 

 

 とくに3位の伊藤 京子選手は、女性として史上初の決勝戦進出を果たしました。大会史に新たな1ページを刻む見事な快進撃でした。

 

 

 

伊藤京子選手の名前が挙がると、会場が沸いた。

 

決勝戦における釣り座選びに各選手の戦略がうかがえた

 

 

 

楠選手、怒とうの釣り込み

決勝戦は11:35から14:05までの2時間30分で行われました。


競技桟橋の五葉松桟橋向きで、好きな釣り座を成績順に上位者から選ぶ方式です。持ち時間は各20秒。時間になると次の選手が桟橋へ上がります。まず予選リーグ1位の福田選手が、いきなり最奥へ進み、観客席がどよめきました。2位の石倉選手は引き寄せられるように奥へ進みますが、3位の伊藤 京子選手は第1試合の印象が良かったのか一番手前へ。4位の櫻井選手は石倉選手より手前に座りました。王座防衛を狙う5位の楠選手は、先に入場した選手たちの釣り座選びに驚きつつ、伊藤 京子選手の先に釣り座を決定。最後に百合草選手が、楠選手と櫻井選手の間に入る形となりました。


 釣り方は手前から順に、伊藤 京子選手が朱紋峰鉾9チョウチンセット、楠 康一選手が飛天弓皆空8浅ダナセット、百合草 大貴選手が飛天弓皆空10チョウチンセット、櫻井 和弘選手が飛天弓皆空9チョウチンセット、石倉 義久選手が普天元独歩8浅ダナセット、福田 直忠選手が普天元独歩10チョウチンセットでした。

 

 

正午に試合開始、静かに、熱い戦いが始まった...

 

 

正午、静かな緊張をまとって決勝戦の幕が上がりました。


 淡々とエサ打ちが繰り返される中、静寂を最初に破ったのは伊藤 京子選手と楠選手でした。ほぼ同時となる12:10に1枚目を手にすると、9分後には百合草選手、さらに2分後には石倉選手、直後には櫻井選手もサオを絞ります。最奥でスコアカードがなかなかめくられない福田選手も、時おりサオを曲げますが、どうやらスレが続いているようです。


 競技開始から30分が経過しました。


手前から伊藤 京子選手2枚、楠選手2枚、百合草選手1枚、櫻井選手3枚、石倉選手1枚、福田選手0枚。


 楠選手のアワせる回数が増え、周囲でも浅ダナ、チョウチンを問わずウキの動きが安定し始めたころ、楠選手が一気に加速しました。急ピッチで釣果を積み上げるたび、五葉松桟橋で見守る観客から歓声が上がります。


12:45、楠選手が10枚目を釣ってフラシ交換をしたそのとき、ちょうど福田選手も1枚目を手にしました。ひとまず形になった安堵もあったのか、福田選手は思わず苦笑いを見せます。


1時間経過した13:00時点の釣果は、手前から伊藤 京子選手5枚、楠選手12枚、百合草選手3枚、櫻井選手8枚、石倉選手9枚、福田選手4枚。


 13:29、楠選手は決定打ともいえる20枚目を絞りました。ここから次第に表情もやわらぎ、対岸へ手を振る余裕まで見せます。小魚を釣った際に観客から拍手が起こっても、それに応える余裕さえ漂っていました。


 応援席と化した五葉松桟橋からは「楠選手の高速セットが一段と冴えている」と感嘆の声が上がり、「大きな魚のセットで楠選手に迫るのは簡単ではない」と、その実力の高さがあらためて印象づけられました。話を聞くと、「エサを締めすぎると小魚にやられてしまう。あれが釣れてきた時点で、へらぶなの魚影が薄くなってきたとわかるのですが、楠選手は小魚を釣りながら、またへらぶなへ戻していますね。セットでは見送りそうなアタリまで拾っている。その精度がすごいです」と、一緒に2日間戦ってきたライバルたちも感嘆しきりでした。


13:13に石倉選手がフラシ交換をしたあと、1時間30分経過の13:30時点における釣果は、手前から伊藤 京子選手6枚、楠選手20枚、百合草選手6枚、櫻井選手10枚、石倉選手12枚、福田選手8枚となりました。


楠選手は、なじみながらのアタリ、ハリスが張った直後のアタリ、さらにそれより早いアタリまで捉え、上バリも喰わせながら釣果を伸ばしていきました。


 パラソルが妙に傾いているように見えたため、試合後に楠選手本人へ尋ねると、「意識的にエサを日に当て、経時変化でエサのタッチを出していた」ことがわかりました。ヒーローインタビューでは「パラソルを差すのが下手なんです(笑)」と語っていましたが、実際にはエサ合わせの一手だったのです。通常は乾燥や粘りを嫌って日に当てないように守るものですが、日差しを利用してエサを合わせていく発想は、まさに勝負師の工夫でした。


 2時間経過した14:00時点の釣果は、手前から伊藤 京子選手8枚、楠選手26枚、百合草選手8枚、櫻井選手16枚、石倉選手17枚、福田選手12枚。


 14:07に伊藤 京子選手がフラシを交換し、6人全員が2桁釣果に到達しました。終了30分前には筑波流源湖の魚が荒喰いを始め、スコアボードのカードが各所でめくられます。まさにラストスパートでした。


 そして時報が場内に響き、エアホーンが鳴った14:30、競技終了となりました。


スコアボード上の枚数は、伊藤 京子選手が14枚、楠選手31枚、百合草選手15枚、櫻井選手と石倉選手が19枚、福田選手16枚です。


 スコアだけを見れば同枚数の選手もいます。しかし同大会は重量勝負です。釣果の入ったフラシをすべて量り、検量結果を見るまで勝負の行方はわかりません。


 そして事務所裏、筑波山を背景に設営された本部テントとステージ前のレッドカーペットに選手たちが集うと、いよいよ発表の時を迎えました。


優勝は楠選手。29.32kgで連覇を成し遂げました。準優勝は櫻井 和弘選手17.86kg、第3位は石倉 義久選手17.38kg、第4位は福田 直忠選手16.80kg、第5位は百合草 大貴選手15.09kg、第6位は伊藤 京子選手13.74kgでした。


表彰台の3人によるシャンパンファイトが始まると、白い泡が青空へ伸び、祝いの美酒が飛沫となって会場へ降り注ぎました。


会場に広がったシャンパンの香りは、まるで花束のように感じられました。この2日間、見事な戦いを繰り広げ、多くの釣りファンへへらぶな釣りの魅力を全身で伝えた選手たちへ贈られた、目には見えない花束だったのかもしれません。