(グレ)釣り選手権大会

第37回(2023年度)全国大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ 磯(グレ)第37回(2023年度)全国大会 大会詳細

川添晃司選手がタフコンディションを制し初優勝!

 


 

1位 川添 晃司 選手/2位 竹中 満和 選手/3位 谷脇 英二郎 選手

日時 2023年11月25日(土)、26日(日)
場所 五島列島 福江島 福江地区の磯(長崎県五島市)
主催 株式会社シマノ
後援 長崎県五島市、一般社団法人五島市観光協会
天候 晴れ時々曇り

去る2023年11月25日(土)~26日(日)「2023シマノ ジャパンカップ磯(グレ)釣り選手権 全国大会」を五島列島・福江島・福江地区の磯(長崎県五島市)にて開催いたしました。

 

出場選手は前回の全国大会上位3名のシード選手と、地区大会そしてセミファイナル大会を勝ち抜いた総勢24名の精鋭たち。
全国大会の檜舞台は五島列島。数々の名礁を有する全国大会の舞台にふさわしい地での開催です。

 

急激な寒波により、大会前日から気温は一気に下がり真冬のような気候です。果たしてこれが試合にどう影響するのか、気になるところです。

 

さて、競技ですが、A(せいわ)、B(勢幸丸)、C(イーグル)の3つの渡船のご協力を得て、船ごとに8選手が3ブロックに分かれ、それぞれペアとなり、マンツーマンで勝負。各試合で対戦相手・対戦場所が変ります。
試合の競技時間は100分とし50分で前後半に分けて釣り座を交換。勝ちポイントは3点、引き分け1点、負け0点。勝ポイントを競うのはもちろん、合計勝ポイントが同点の場合は重量差で順位を決定。よって大型の魚を、短時間により多く揃えることで重量の差が開き順位を上げることができます。2日間で予選4試合を戦い、勝ち上がった2名が晴れて決勝の舞台にあがるといった仕組みです。


また、SDGsの観点から魚への負担を減らす取り組みの一環で、昨年から5匹のバッグリミット制を導入。競技終了後に選定の時間はなく、6匹目が釣れた時点で、入れ替えを義務付けるルールです。

第1試合

7時に第1試合がスタート。風が強く、気温も低い厳しいコンディションでの第1試合目です。
注目選手はやはり3連覇、5度頂点に立っている友松信彦選手。対戦相手はセミファイナル関西大会を勝ち上がってきた前田工選手です。2017年大会では3位入賞を果たした実力者。戦いの舞台は鳥小島ワンド。試合は序盤から前田選手がリードし、そのリードを守った前田選手が勝利です。初戦で優勝候補の友松選手が負けるという波乱の幕開けです。
第1試合で一番の重量差を上げたのが竹中満和選手。その重量差は2010g。続いて川添浩司選手も重量差1950gと他の選手を突き放します。
 

第2試合

ここで圧倒的な釣果を上げたのが、第1試合で一番の重量差を出した竹中選手でした。
福江向きの地で篠崎恒治選手と対戦。前半戦は両者ともに釣果なし。後半戦の場所交代で、先端に入った竹中選手。手前から沖に向かって潮が流れ出し、この潮に仕掛けを入れていくとサオ1本ほどのところで魚がよくアタってきました。竹中選手が5321g釣り、篠崎選手が263g。その重量差は5058g。リードを広げます。

 

手代の地の奥で繰り広げられた川添選手と江藤義紀選手との一戦も白熱。両選手ともイサキに悩まされましたが、マキエと仕掛けの投入タイミングをうまく掴んだ川添選手がわずかに上回りました(川添選手4856g、江藤選手4232g)。

第3試合

この試合でトップの重量差が出たのが、1勝1敗の谷脇英二郎選手と連勝で来ている五郎丸貴浩選手との、エー瀬で繰り広げられた一戦です。
朝から吹いていた風が止み、この日初めて使われた磯での戦いでした。試合が動いたのは後半です。本命の先端に入れた谷脇選手。ガン玉なしでも仕掛けが入っていく潜り潮を探します。喰いだしが遅いと踏んでいたため、後半戦に勝負をかけ、じっくりと仕掛けを馴染ませていきます。それが当たり、釣果5尾、3424gに対して五郎丸選手は釣果ゼロ。谷脇選手がここで大きく重量差を稼ぎました。

 

初日の予選リーグ3試合を終えて、全勝したのが3名です。合計重量差により、1位竹中選手、2位上田泰大選手、3位上西康介選手となりました。同じ2勝1敗ですが、重量差により4位谷脇選手、5位橋本剛寿選手、6位川添選手と続きます。

第4試合

波乱の試合となった第4戦。注目のカードが決勝進出がかかっている3勝の上田選手と友松選手との一戦。友松選手が、ディフェンディングチャンピオンの意地を見せて、上田選手を撃破。全勝を阻みました。暫定1位の竹中選手も浜田裕二選手に敗れ3勝1敗。

 

暫定3位の上西選手と暫定4位の谷脇選手との一戦も注目でした。
決戦の舞台となった手代の地の奥の向いは魚が出る有望磯のため、ハイウエイトの戦いになるかと思いきや、潮が動かず、まるで湖のような状況。
そんな渋い状況下に対応すべく、ハリスを1.2号まで落とし、ウキもサイズダウン。繊細な釣りにシフトした谷脇選手が値千金となる45㎝のクチブトをひねり出し、白星を飾りました。これで全勝は誰もいません。

 

2勝1敗、暫定6位の位置につけていた川添選手が上位陣を脅かします。手代のハナレで前回大会3位の幸喜一樹選手と勝負。
前半戦、川添選手は水道側の釣り座で当て潮気味の状況を釣っていました。足の裏サイズが2尾で場所交代。
後半は先端に入り、小さくてもまず5尾を揃え、そこから大型ねらいに切り替えます。先端の方が本命です。仕掛けを潮目に入れていくと、良型のクチブトが2尾に良型のオナガ1尾が来て、合計4023gの釣果。重量差1359gで勝利です。

 

全勝で来ていた竹中選手、上田選手、上西選手の3名が負けてしまうという予想外の結果となりました。しかし、第1試合、第2試合と重量差を稼いでいた竹中選手が3勝1敗の選手の中でも頭1つ抜けて1位通過。2位が川添選手、3位が谷脇選手となりました。決勝進出は1位の竹中選手、2位の川添選手です。

決勝

決勝の舞台は屋根尾の長瀬。予選1位通過の竹中選手に優先権があります。海に向かって右の釣り座を選択。船が着いた時に、いい引かれ潮がきていたため、この潮が利いているうちに入って釣ってしまおうという思惑です。

 

11時50分、ホーンの合図とともに決勝戦がスタート。一度消えてしまったと思われた引かれ潮も、スタートとほぼ同時にまた潮が動き出しました。竹中選手はこの潮の中からいかに魚を出すか。しかし、潮が刻々と変わってポイントがなかなか絞れません。じっくり流そうとすると、境界線。「もう少し流せれば……」というところで回収を余儀なくされます。掛かっても小型のオナガという状況のなか、なんとか35㎝ほどのクチブトをキーパーバッカンに入れた竹中選手。

 

一方、川添選手は本流に引かれて行く潮に悩まされていました。沖をねらおうと思っても、すぐに境界線まで仕掛けが流されてしまいます。
そこで足もとねらいに切り替えました。G6を2つ打って、仕掛けを張り気味でブレーキをかけながら釣っていきます。前半戦はとにかく5尾揃えて、後半戦の先端で良型ねらいに望みを託します。

 

12時40分に前半戦が終了。両選手とも魚の入れ替えをしていますが、決定的な1尾が出ていません。しかし、竹中選手が35㎝ほどのクチブトを釣っているぶんリードしている印象です。

 

5分間のエリア交代を挟み、12時45分、後半戦がスタート。
先端に入った川添選手。沖から入ってくる潮が強く、なかなか仕掛けが入っていきませんでしたが、潮が一瞬緩んだタイミングで、川添選手のサオが大きく曲がりました。
これまでの魚より良型の気配でしたが、痛恨のバラシ。これがヒントになり同じようなねらい方で仕掛けを流すと、すぐにサオが曲がり、いいサイズのオナガがタモに収まりました。
しかし、潮が目まぐるしく変わっていきます。角度や流れの強さが一投ごとに変わるタイミングもありました。潮に翻弄されながらも、少しでも大きいサイズが出るようにねらっていきます。

 

竹中選手も前半戦の川添選手と同じく、引かれ潮に悩まされました。思っていた以上に速く、すぐに境界線まで流されてしまいます。引かれ潮が弱くなり、当て潮気味になってきたタイミングで雰囲気が変わって来ました。13時18分に入れ替えサイズの30㎝オーバーのクチブトを釣り上げます。

 

両者最後まで全力で戦い、ホーンの合図とともに試合終了。どちらが優勢か判断できない緊迫した試合展開。検量してみるまで勝者は全く分かりません。

 

検量の結果は竹中選手1919g、川添選手1956gで川添選手が2回目の出場で初優勝となりました。

 

「来年の目標は、優勝というよりは表彰台に上がれれば上出来と思っています。今回はだいぶ潮が味方してくれたかな」と謙虚に喜びを語る川添選手でした。