クロダイ(チヌ)釣り選手権大会

第11回全国(2023年度)大会 大会結果

シマノ ジャパンカップ クロダイ(チヌ)
第11回全国(2023年度)大会 大会詳細


 

1位 濱川 翔伍 選手/2位 下西ノ園 大地 選手/3位 波多江 義孝 選手

日時 2023年9月30日(土)、10月1日(日)
場所 宿毛湾一帯(高知県宿毛市)
主催 株式会社シマノ
後援 高知県宿毛市、一般社団法人宿毛市観光協会
天候 1日目晴れ、2日目晴れ一時雨

決勝の舞台にふさわしい豊穣の海

 

去る9月30日(土)、10月1日(日)、高知県宿毛市の宿毛湾一帯で第11回シマノ ジャパンカップ クロダイ(チヌ)釣り選手権全国大会を開催いたしました。

 

大型オナガグレの宝庫、沖ノ島、鵜来島の出船基地として知られる高知県宿毛市。一方で、近年は「マッスルチヌ」と称される大型でパワフルなクロダイが生息する湾内が注目を集め、ジャパンカップクロダイ釣り選手権の全国大会の会場として選ばれたのは、今回で6度目となります。
50cmオーバーが高確率で釣れ、ロクマル(60cm)も数多く生息する豊穣の海は、熱戦の舞台としてふさわしい夢の好釣り場です。

 

シマノの願いは出場選手に最大限の実力を発揮していただくことにあります。しかし、グレに比べ、チヌは絶対的な個体数が少なく、大会参加者中、釣果を得た選手は20~30%しかないというのは普通にあることです。晴れの舞台のマンツーマン対戦で、両選手釣果なしでは困ります。

 

そこで「釣れる」という可能性にこだわり、大会前日に実釣を行なっている選手や船頭からも情報を集め、シマノスタッフも多くのポイントで下見を行ないました。釣果の有無はもちろん、地形や水深、干満や気象・水況等を多角的に分析し、釣り場の予測を立て、事前のマキエ投入を行なって大会の舞台を作りあげました。


決戦の舞台に立ったのは地区大会を勝ち抜いた17名と、第10回全国大会上位のシード選手3名を加えた、総勢20名の精鋭たち。予選は3試合、3時間のマンツーマン対戦の勝ちポイントと合計重量差で順位が決まります。

 

予選は3試合を行ない、決勝進出は上位2名のみ。予選の競技時間は前半90分、後半90分の合計180分。マンツーマンで対戦し、勝ちポイントは3点、引き分け1点、負け0点が与えられます。
合計ポイントが同点の場合、合計重量差で順位が決まります。決勝は前半60分、後半60分の合計120分になります。

 

また、SDGsの観点から魚への負担を減らす取り組みの一環で、前回大会から5匹のバッグリミット制を導入。競技終了後に選定の時間はなく、6匹目が釣れた時点で、入れ替えを義務付けるルールです。
 

第1試合

エサやタックルチェックを行った後、予選の対戦組ごとに分かれ西田渡船、フィッシング吉村の船に乗り、磯に向かいます。渡礁が完了した磯から審判が時間を管理し、競技スタート。

 

第1試合が終了し、緊張の検量が始まります。検量に持ち込んだのは20名中12名。春先の前回大会と比べると釣果がよく、ひと安心です。そんな中、暫定1位に立ったのは合計5匹、総重量5,353g釣りあげた矢吹 壮選手。矢吹選手は第8回大会の優勝者で、今回勝てばV2となります。
矢吹選手はダルマ横で吉山正蔵選手と対戦。開始して15分も経たずして、矢吹選手のサオが大きく弧を描きました。その後もコンスタントに釣りあげていき、リミットメイクを達成。深ダナには入れず(入れても2ヒロほど)、なるべく上のタナで喰わせるようにしていました。

 

同様に勝ち点3ポイントを手にしたのが2位の下西ノ園大地選手、3位が髙橋武選手、4位が石井宏明選手、5位が辻憲志郎選手、6位が蓮井勇次選手、7位が宮城啓佑選手。合計重量差でこの順位となりました。

第2試合

注目を集めたのが、ダルマ横で繰り広げられた濱川翔伍選手と畠中倫洋選手との1戦。畠中選手が先に魚を手にしましたが、その後、濱川選手が怒涛のラッシュで前半2匹、後半6匹。リミットメイクを達成し、2匹の入れ替えに成功するという好釣果。
エサ取りが少ないところでは、オキアミ、ムキエビを使用し、エサ取りがわいてきたら練りエサに変更。また、後半戦では中層での反応が悪くなり、底を這わせて追加で釣果を上げました。
濱川選手が釣りあげた総重量は5,781gで重量差が3,648g。12位から4位まで一気に順位をあげました。重量差により同じ4ポイントが並ぶ選手の中で頭1つ抜けることができました。

 

この試合で勝ち点3を獲得したのが、髙橋選手、下西ノ園選手、石井選手、濱川選手、鎌田茂夫選手、笹野三喜男選手、波多江義孝選手、森雄司選手、山田雄士選手、田中雄大選手です。

 

この結果を踏まえ、予選2試合を終えて暫定1位が髙橋選手、2位が下西ノ園選手、3位が石井選手、4位が濱川選手、5位が鎌田選手、6位が笹野選手、7位が波多江選手となりました。1〜3位が6ポイント、4〜7位までが4ポイントで並びます。4ポイントの選手が多く、第3試合の結果しだいで大きく順位が入れ替わりそうです。
 

第3試合

注目の戦いが大藤島のクロウドの西で行なわれた暫定2位の下西ノ園選手と3位の石井選手との一戦。全勝同士の対決です。勝てば決勝進出が決まりますが、負けると芽はなくなるという残酷な戦いでもあります。

 

優先権を得た石井選手が右手のワンド側を選択し、下西ノ園選手が船着場から沖向きを釣ることになりました。なんと開始1投目で下西ノ園選手のサオが絞られ、無事にランディング。さらに10分もせずに再び、下西ノ園選手のサオが曲がり2尾目。開始早々、下西ノ園選手が大きくリードです。
「船を着けた時、足もとがギラっと。チヌがいるのが分かりました」。ねらって釣った2匹です。その後、大きくサオを絞るのはヒブダイばかりで試合は動きません。
後半戦にワンド側に入った下西ノ園選手がしつこく岩場の際をねらい、1匹を絞り出しました。まさに執念の1匹。
総重量2,153gを釣り、勝ち点3ポイント。下西ノ園選手、全勝で決勝へと駒を進めました。

 

同じ頃、大島3番でも激闘が繰り広げられていました。
ここで気を吐いたのが波多江選手。最初に45㎝クラスを釣ったものの、対戦相手の山田選手が前半戦で2匹釣り、追いかける形となりました。
根に張り付かれたり、いまいちリズムに乗れない波多江選手でしたが、後半戦になると沖のシモリにねらいを定めて、数を伸ばしていきます。
リミットメイクを達成するが2匹が小さい。終了10分前で入れ替えに成功。さらに5分前にも良型を釣りあげ、再度入れ替えに成功しました。
その結果、今大会の最重量となる5,903gを釣りあげ、重量差で3位に滑り込みました。決勝進出は叶いませんでしたが、終了間際の10分にドラマがありました。

 

2日間にわたる予選3試合の結果、1位が全勝し、9ポイント獲得した下西ノ園選手、2位が7ポイント獲得した濱川選手、3位が7ポイントの波多江選手となりました。下西ノ園選手、濱川選手が決勝進出です。

決勝

決勝の舞台はダルマ横。予選で好釣果が出ていた磯だけに白熱した戦いが予想されます。沖向きは岩盤やシモリが多く、地方寄りは全体的に砂地の地形のようです。クロダイのストック量が多く、数釣りも期待できます。

 

優先権のある下西ノ園選手がダルマ(磯名)から見て右側(沖向き)の釣り座を選択。濱川選手は左側(地方寄り)の釣り座となりました。
下西ノ園選手の思惑としては、第3試合の釣りがよかったので、前半戦はその時のイメージを再現できそうな右手の釣り座を最初に選び、リズムを掴む。後半戦は砂地が広がる地方寄りでいつもやっている沈め釣りで這わせながら釣って数を追加するというものでした。

 

11時30分にホーンが鳴り響き、2時間の勝負がスタートです。開始して10分経たずして濱川選手がサオを曲げ、本命を取り込みます。30〜40mほど沖にポイントを2ヵ所作り、中層から下のタナを釣っていきます。エサはエサ取りの反応を見ながら、オキアミとマルエビを使用。濱川選手は11時55分にも1匹を追加し、釣果を伸ばしていきます。

 

下西ノ園選手はシモリの間を釣っていくイメージですが、逆光で何も見えず手探り状態からのスタート。そんな中、右手から流れる潮に着目してねらってみるとアタリがあり、チモトを確認するとキンクしていました。どうやらクロダイのアタリのようです。この後に本命が掛かるも痛恨のバラシ。ライントラブルなどにも見舞われ、いまいち自分のペースで釣りができていないようです。
12時14分、濱川選手が3匹目を釣りあげます。中層での反応が悪くなったところで、練りエサに変更し、底を這わせたところ拾えた1匹です。

 

12時半に前半戦が終了し、5分のインターバルを挟み、釣り座を入れ替えて後半戦がスタート。
沖向きに入った濱川選手。この釣り座はとにかくエサ取りが多いです。3〜4ヵ所ポイントを作りながら、エサ取りの湧きぐあいや、マキエを投入してから仕掛けを入れる時間差を微調整しながらシモリ周りをねらっていきます。

 

またしても濱川選手が掛けます。シモリに向かって魚が走り、ハリスが擦れる嫌な感触が手元に伝わるや否や、小高くなった磯場に素早く移動。シモリをかわしながら魚の引きをいなします。タモに収まったのは宿毛のマッスルチヌ。
その約15分後、000のウキを沈めながら探っていると、下西ノ園選手のサオが絞られました。待望の1匹目をキャッチ。しかし、濱川選手も手を緩めません。13時8分、勝負を決める5尾目となるクロダイをキャッチ。
13時35分、ホーンの合図とともに2時間の激闘が幕を閉じ、ギャラリーからは惜しみない拍手が送られました。検量の結果、総重量4,011g釣った濱川選手の優勝です。